会社の「企業型DC(企業型確定拠出年金)」や「マッチング拠出」をしている人の年末調整の書き方

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目次

「勤務先で『企業型DC(企業型確定拠出年金)』に入っているけれど、年末調整の書類には何か書く必要があるの?」

「毎月の給料から『マッチング拠出』で自分でも掛金を上乗せしている場合、申告書の書き方はどうなる?」

大企業やIT企業を中心に、退職金・企業年金制度として広く導入されている企業型DC(企業型確定拠出年金)。

年末調整の時期になり、「給与所得者の保険料控除申告書」の右下に「企業型年金加入者掛金」という文字を見つけて、「ここに自分の企業型DCの金額を書かなければいけないのかな」「証明書のハガキは届いていないけれど大丈夫か」と不安になる会社員は少なくありません。

先に要点だけ言うと、会社が掛金を全額出してくれている通常の企業型DCはもちろん、本人が自腹で掛金を上乗せする「マッチング拠出」をしている場合であっても、年末調整の申告書には何も書く必要はありません。空欄のまま提出して大丈夫ですし、証明書の添付も不要です。

理由は単純で、企業型DCやマッチング拠出の掛金は会社の給与計算システム側ですでに毎月把握されており、会社の手続きの中で自動的に所得控除の処理が済んでいるからです。

この記事では、企業型DCとマッチング拠出が年末調整で「書かなくていい」とされる法的な仕組みから、源泉徴収票での確認方法、そしてiDeCoを併用している場合の例外パターンまで、実際に総務や経理の現場で起きているやり取りを交えて整理しました。


1. 結論:企業型DC・マッチング拠出は年末調整で何も書かなくていい

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企業型確定拠出年金に関する年末調整の取り扱いは、次の通り極めてシンプルです。

【企業型確定拠出年金(DC)の年末調整対応マニュアル】

① 会社拠出のみ(通常)【申告書への記入:不要(空欄)】
会社の掛金は全額「非課税」のため手続き不要
② マッチング拠出(自己負担)【申告書への記入:不要(空欄)】
毎月の給与天引き時に自動で所得控除処理済み
③ 自分でiDeCoを併用(*例外)【年末調整での記入・ハガキ添付が必須!】
個人口座から引き落としているiDeCoのみ申告

申告書の右下にある「確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金」という欄は、会社側で天引き処理ができなかった特殊なケースなどのための予備欄であって、通常の給与天引きで拠出している社員は空欄のまま提出するのが正しい対応です。

【現場のリアル】マッチング拠出を書くべきか迷って総務に電話した話

ある会社員の方の話です。保険料控除申告書を記入していたところ、下の方に「確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金」という欄があるのに気づき、自分が毎月給料から天引きされているマッチング拠出の金額をここに書くべきかどうかで手が止まってしまったそうです。ネットで調べても「書かなくていい」という情報と「念のため書いておいた方がいい」という情報が両方出てきて余計に混乱し、結局提出期限の前日になって総務へ電話をかけ、「マッチング拠出の欄、埋めなくて平気ですか」と尋ねたといいます。電話口の担当者は「それはもう給料から天引きした時点でうちの給与システムで拾ってますから、空欄で大丈夫ですよ」とあっさり答え、拍子抜けするほど簡単な話だったと本人は振り返っていました。書く書かないで数十分悩んだ末に、結論は「何もしなくていい」だったというオチに、少し脱力したそうです。


2. なぜマッチング拠出は書かなくても自動で控除されるのか

マッチング拠出で払った自分負担分の掛金は、税法上「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になります。国税庁のタックスアンサーには次のように定められています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁 タックスアンサー「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」では、次のように説明されています。
『納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます』
対象となる掛金の一つとして『確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金』が明記されており、控除できる金額は『その年に支払った掛金の全額』とされています。
出典:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

つまり、企業型年金加入者掛金(会社のマッチング拠出)も個人型年金加入者掛金(iDeCo)も、法律上は同じ「小規模企業共済等掛金控除」という一つの枠に入っています。両者で実務上の手続きが違うのは、掛金を天引きしているのが会社なのか、本人の口座なのかという一点にかかっています。

マッチング拠出の掛金は、毎月の給料から会社が天引きして拠出しています。そのため会社の人事・給与計算システムは「この社員は今年マッチング拠出で年間いくら払ったか」を1円単位で把握しており、年末調整の税額計算の中で自動的に控除額へ組み込んでいます。この「会社側だけで完結する」という運用は国税庁の通達に一字一句書かれているわけではありませんが、掛金がそもそも給与から天引きされている以上、会社が把握・処理せざるを得ない構造になっている、というのが実務上の背景です。だからこそ社員の側で申告書に書き込んだり、証明書を添付したりする作業が発生しません。


3. 源泉徴収票で確認、マッチング拠出は正しく控除されたか

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12月の給料日に会社から配られる源泉徴収票を見れば、マッチング拠出が正しく税金から差し引かれたかどうかを自分で確認できます。

### 源泉徴収票でのマッチング拠出の記載場所
- [ 社会保険料等の金額 ]欄の下段または摘要欄を確認:
・内書きで「小規模企業共済:120,000円」等の記載がある
- > これにより、所得税・住民税が満額安くなっていることが証明されます

【現場のリアル】源泉徴収票の摘要欄が読み解けなかった話

経理担当者から聞いた話です。ある社員が12月の給料日に源泉徴収票を受け取り、自分のマッチング拠出がちゃんと控除されているか気になって隅々まで見たものの、どこに書いてあるのか分からず経理に問い合わせてきたことがあったそうです。「社会保険料等の金額」という欄の数字だけを見て、健康保険や厚生年金の合計しか載っていないように見えたため、「マッチング拠出の分はどこにも反映されていないのでは」と不安になったといいます。実際には、その欄の下に小さく内書きで「小規模企業共済:〇〇円」という形でマッチング拠出額が加算されていたのですが、文字が小さいうえに「小規模企業共済」という見慣れない言葉で書かれていたために、自分のマッチング拠出のことだと結びつかなかったようです。経理担当者が「その内書きの数字がマッチング拠出分ですよ」と説明すると、本人はようやく納得して、以来毎年その欄を確認するようになったとのことでした。


4. iDeCoと企業型DCを両方やっている人だけの注意点

2022年10月の法改正により、企業型DCに加入している会社員でも、原則として誰でもiDeCo(個人型確定拠出年金)を併用できるようになりました。ここが唯一、年末調整で手を動かす必要が出てくる場面です。

併用している場合の仕分け

・会社の企業型DC、マッチング拠出分 → 年末調整の申告書には何も書かない

・自分で証券会社や銀行に開設したiDeCo分 → 国民年金基金連合会から届いた「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付し、保険料控除申告書の「個人型年金加入者掛金」欄に金額を記入する

保険料控除申告書そのものの提出時期については、国税庁が次のように案内しています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」では、次のように説明されています。
『給与所得者が生命保険料控除や地震保険料控除などの適用を受けるための保険料控除申告書は、その年最後の給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に提出することとされています』
出典:国税庁「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_05.htm

小規模企業共済等掛金控除も、この保険料控除申告書の中の一項目として扱われます。つまりiDeCoの掛金証明書は、生命保険や地震保険の証明書と同じ締め切り、同じ用紙の中で扱う書類だということです。両方をやっている方は、iDeCoの分だけを申告書に記入し、企業型DC・マッチング拠出の分には何も書かずに提出してください。

【現場のリアル】iDeCo分だけでいいと知らず、企業型DCの分まで書いてしまった話

人事部で年末調整の取りまとめをしている方の話です。ある社員が、会社の企業型DCとiDeCoを両方やっており、保険料控除申告書の「個人型年金加入者掛金」欄に、iDeCoの掛金だけでなく企業型DCのマッチング拠出額まで足し合わせた金額を書いて提出してきたことがあったそうです。本人としては「確定拠出年金は全部まとめて書けばいいと思っていた」とのことでしたが、そのまま処理すると企業型DCの分が二重に控除される計算になってしまいます。人事担当者は源泉徴収票の元データと突き合わせて金額のズレに気づき、本人に「iDeCoの証明書に書いてある金額だけを書き直してもらえますか」と連絡を入れて訂正してもらったといいます。担当者いわく、こうした「まとめて書いてしまう」勘違いは毎年一定数あり、企業型DCとiDeCoは制度としては似ていても、申告書の上では扱いがはっきり分かれている、という点を強調していました。


5. よくある質問(Q&A)

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Q1. 自宅に企業型DCの運営管理機関から通知が届きましたが、年末調整で使いますか?

使いません。残高通知や運用状況報告書は、自分の資産状況を確認するためのレポートですので、大切に保管しておくだけで大丈夫です。

Q2. 企業型DCの掛金を、年末調整用紙に二重に手書きしてしまったらどうなりますか?

会社の人事部で気づいて修正してもらえるケースがほとんどです。給与システムですでに控除処理が済んでいるため、そのまま計算すると二重控除になってしまい、人事部側でのチェック・修正の手間が発生します。手間を増やさないためにも、最初から空欄で提出するのが一番です。


6. マッチング拠出のルール、会社拠出額を超えて上乗せできない

マッチング拠出には、確定拠出年金法にもとづく2つの制限があります。

  1. 会社拠出額以下ルール。本人の上乗せ額は、会社が出してくれる掛金額を超えて拠出することはできません。
  2. 上限合算ルール。会社拠出額と本人拠出額の合計が、月額55,000円(他の企業年金制度を併用している場合は27,500円)を超えることはできません。

この2つは国税庁ではなく確定拠出年金法・厚生労働省の制度設計にもとづくルールで、拠出限度額を超えて申し込むこと自体がそもそもシステム上できない仕組みになっています。年末調整の記入とは別の話ですが、マッチング拠出の上乗せ額を検討する際の前提として知っておくと安心です。


7. 企業型DCの運用益は非課税、スイッチングしても税金はかからない

企業型DC内で得た投資信託の分配金や値上がり益は、新NISAと同様に運用中は課税されません。リバランスやスイッチング(銘柄の入れ替え)を行っても、その都度税金が引かれることはないため、長期の資産形成という意味では有利な仕組みです。この非課税枠自体は年末調整の記入とは無関係で、受け取り時(一時金や年金として引き出す時)には別の課税ルールが適用される点は覚えておいてください。


まとめ:企業型DCは手続き不要、iDeCo併用分だけ申告しよう

・企業型DCおよびマッチング拠出は、会社側で自動的に控除処理されるため年末調整では空欄でよい。

・証明書ハガキの提出も不要。

・12月の源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄の内書きで、正しく控除されているか確認できる。

・個人の口座から支払っているiDeCo(併用分)がある場合だけ、証明書を添付して申告書に記入する。

・企業型DCとiDeCoを混同して合算で書いてしまう勘違いが多いので、書くのはiDeCoの金額だけと覚えておく。

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