年末調整「基礎控除申告書」の書き方!年収見積額の正しい計算手順

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目次

年末調整の書類のなかで、「一番書き方がわからない」「毎年ここで手が止まる」という人が多いのが「基礎控除申告書」です。三枚複写になった年末調整書類のうち、名前だけはよく聞くのに中身をじっくり見たことがない一枚、という人も多いのではないでしょうか。

「基礎控除申告書って、いったいどこに何を書けばいいの」

「まだ12月分の給料をもらっていないのに、今年の年収の見積額なんてどうやって計算するの」

総務から書類を渡された瞬間、ペンを持ったまま固まってしまう。そんな経験がある人は少なくありません。

基礎控除申告書は「今年の年収の見積額」さえ正しく計算できれば、あとは手順に沿って表を埋めていくだけで完了します。国税庁が示している控除の考え方と記入欄の場所さえ押さえてしまえば、毎年の作業時間はぐっと短くなります。


1. そもそも「基礎控除申告書」とは?

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【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1199 基礎控除」では、基礎控除について次のように定められています。
『基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が異なります。合計所得金額が2,400万円以下の場合の控除額は48万円です。合計所得金額が2,400万円を超え2,500万円以下の場合は控除額が段階的に減少し、2,500万円を超える場合は基礎控除の適用を受けることができません』
出典:国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm

基礎控除は、すべての納税者が無条件で受けられる所得控除だとイメージしている人が多いのですが、正確には合計所得金額が2,500万円を超えると控除そのものがゼロになります。もっとも、一般的な会社員であれば合計所得金額が2,400万円を超えることはまれなので、ほとんどの人は満額の48万円が適用されます。基礎控除申告書は、この基礎控除を正しく受けるために、今年の所得がいくらになりそうかを会社に申告する書類です。

多くの場合、この書類は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という、非常に名前の長い1枚の用紙にまとまっています。同じ用紙の右側には配偶者控除・配偶者特別控除(国税庁タックスアンサー No.1191、No.1195)の欄が、さらに子育てや特別障害者がいる世帯向けの所得金額調整控除(No.1411)の欄が続いていますが、この記事では左側の「基礎控除申告書」部分の書き方に絞って解説します。

【基礎控除申告書を書く目的】

あなたの今年の所得(儲け)を計算し、あなたが受けられる基礎控除の金額を確定させるためです。


2. 【最重要】「年収見積額」の正しい計算手順

基礎控除申告書を書く上で最大のハードルとなるのが、「本年中の合計所得金額の見積額」を出すことです。まだ1年が終わっていないのに、どうやって今年の年収を計算するのか、ここで手が止まる人が一番多いところです。

具体的な手順は以下の2ステップです。

手順1:1月から現在までの給与・賞与を合計する

お手元に今年1月以降の給与明細と賞与明細を用意してください。

これらの「総支給額(額面)」をすべて合計します。

手取り額(銀行に振り込まれた金額)ではないので注意してください。

交通費(非課税となっている通勤手当)は収入に含めません。

手順2:残りの月の給与・賞与を予測して足す

まだ支給されていない残りの月(例:11月・12月)の給与と、冬のボーナスなどを見積もります。

「毎月だいたいこのくらい」という直近の基本給などをベースに予測して、手順1の金額に足し合わせます。

年収見積額の計算式

(1月~現在までの総支給額の合計) + (残り期間の支給予定額の合計) = 今年の年収見積額

ポイント:多少ズレても大丈夫
ここで書くのはあくまで「見積額」です。1円単位で完璧に当てる必要はありません。残業代の変動などで多少のズレが生じても、大きく間違っていなければ問題なく受理されます。

【現場のリアル】年収を低く見積もりすぎて、経理から指摘された話

ある会社員は、基礎控除申告書の年収見積額欄に「なんとなく去年と同じくらい」という感覚で、実際より50万円ほど低い金額を書いて提出しました。ところが年の後半に残業が増え、実際の年収は見積もりを大きく上回ってしまった。年末調整の結果自体は会社側が実際の支給額をもとに再計算するため大きな実害はなかったものの、経理担当者から「見積額と実際の差が大きいので、来年はもう少し余裕を見て書いてください」と軽く指摘され、気まずい思いをしたそうです。

見積額はあくまで概算で構わないとはいえ、あまりにも実態とかけ離れていると経理側の事務処理が煩雑になったり、翌年の住民税決定通知を見て「思ったより住民税が高い」と驚く原因にもなります。直近3か月分の給与明細を見て、繁忙期の残業代やボーナスの傾向も加味しておくと、この手のズレはかなり防げます。


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3. 「基礎控除申告書」の具体的な書き方・記入例

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年収見積額が出たら、あとは書類に記入していくだけです。用紙の左側、氏名・住所欄のすぐ下にある「給与所得者の基礎控除申告書」の欄を、上から順番に埋めていきましょう。

①「給与所得の収入金額」欄

手順2で計算した「今年の年収見積額」をここに記入します。用紙では一番上、「収入金額」と印字された小さな枠です。

②「給与所得の所得金額」欄

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1410 給与所得控除」では、給与所得の金額について次のように定められています。
『給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いた残額です』
出典:国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

つまり①の欄に書いた「収入金額」は、まだ「儲け」そのものではありません。会社員の必要経費にあたる給与所得控除を差し引いた後の金額が「所得金額」です。用紙の裏面、または国税庁が配布している記載要領にある「給与所得の金額の計算方法」の表を使って、①の収入金額を所得金額に変換します。

【所得金額の計算方法(目安)】

収入金額(①で書いた年収見積額)所得金額の計算方法
162万5千円以下収入金額 - 550,000円
162万5千円超~180万円以下収入金額 × 40% - 100,000円
180万円超~360万円以下収入金額 × 30% + 80,000円
360万円超~660万円以下収入金額 × 20% + 440,000円

具体的な計算式は、必ずその年の最新の表を確認してください。国税庁のタックスアンサーページには、660万円超850万円以下、850万円超のケースも含めた完全な速算表が掲載されています。計算した結果の金額を②の欄に記入します。

③「給与所得以外の所得の合計額」欄

副業をしている場合など、給与以外の所得(雑所得や不動産所得など)がある場合はここに記入します。会社員としての給与しかない場合は「0」と書くか、空欄でOKです。

④「本年中の合計所得金額の見積額」欄

②と③を足した金額を記入します。給与所得しかない場合は、②の金額をそのまま書き写せば大丈夫です。

⑤「控除額の計算」欄

④で出した「合計所得金額」をもとに、判定欄のチェックボックス(A〜Cなど)にチェックを入れます。用紙の右側に小さな早見表が印字されているので、④の金額がどの区分に当てはまるかをそこで確認してください。

本年中の合計所得金額の見積額判定区分基礎控除の額
2,400万円以下A48万円
2,400万円超 2,450万円以下B32万円
2,450万円超 2,500万円以下C16万円
2,500万円超対象外0円(控除なし)

多くの会社員(合計所得金額が2,400万円以下の方)は、一番上の「A(48万円)」に該当し、チェックを入れることになります。

⑥「基礎控除の額」欄

⑤で判定した基礎控除の額(例:480,000円)を一番下の欄に記入します。

これで基礎控除申告書の記入は完了です。


4. 基礎控除申告書を書くときのよくある注意点

基礎控除申告書を書く際に、イレギュラーなケースで迷いがちなポイントをまとめました。

給与以外の所得(雑所得など)が年間20万円を超える場合は、年末調整とは別に「確定申告」が必要です。ただし、基礎控除申告書の「給与所得以外の所得の合計額」の欄には、所得が20万円以下であっても見積額を含めて計算・記入する必要があります。

前職の「源泉徴収票」を確認し、前職での給与総額も含めて年収見積額を計算してください。

今年の収入が完全にゼロの場合でも、会社から書類の提出を求められることがあります。その場合は収入欄に「0円」、基礎控除額に「480,000円」と記入して提出しましょう。

【現場のリアル】前職の源泉徴収票が出てこず、提出期限前日に電話をかけた話

年の途中で転職したある会社員は、基礎控除申告書の提出期限が近づいてから、前職の源泉徴収票を引っ越しの荷物のどこかに紛れ込ませてしまったことに気づきました。人事に相談したところ「前職分も含めて年収見積額を書いてください」と言われたものの、肝心の書類が手元にない。結局、提出期限の前日になって前職の総務に電話をかけ、事情を説明して源泉徴収票の再発行を依頼することになりました。担当者が異動していたり、郵送に数日かかると言われたりして、冷や汗をかいたそうです。

前職の源泉徴収票は退職後1か月以内に発行されるのが原則ですが、実際には転職先での年末調整の時期まで封を開けずに放置してしまう人が少なくありません。転職した年は、前職の源泉徴収票を受け取ったらすぐに年末調整用のクリアファイルへ入れておく。これだけで、締切前日の電話一本を防げます。


まとめ:年収の見積もりができれば基礎控除申告書は難しくない

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年末調整の「基礎控除申告書」は、ぱっと見は文字ばかりで複雑に見えますが、押さえるべき流れはシンプルです。

まずは今年の給与明細を集めることから始めてみてください。手元に1月から今月までの明細が揃えば、あとは計算するだけです。

とはいえ、毎月の給与明細を全部引っ張り出してきて電卓を叩くのはやっぱり面倒、計算ミスをして経理からやり直しを求められるのが怖い、という方も多いはずです。

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今年の年末調整は、手計算や手書きのストレスから解放されて、スキマ時間に済ませてしまいましょう。

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