認定NPO法人や日本赤十字社、政治団体への寄付金は年末調整できる?「寄附金控除」の確定申告ルール

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「日本赤十字社や認定NPO法人に毎月寄付をしているけれど、年末調整の書類に寄附金受領証明書を出せば税金は戻ってくるの?」

「母校の大学への寄付や、政党への寄付金は、いくら税金が安くなるの?」

社会貢献活動や母校支援、災害支援として、認定NPO法人、公益社団・財団法人、日本赤十字社、大学、政治団体などに寄付をしているサラリーマンは年々増えています。年末調整の時期になると、寄付先から届いた寄附金受領証明書を見て「これを会社に出せば税金が戻るのかな」と考える方が多いのですが、寄附金控除だけは会社の年末調整では一切処理できません。証明書を経理に出しても、確定申告でお願いしますと返されてしまいます。

寄付金による税金の控除を受けるには、翌年2月16日から3月15日の間に、自分で税務署へ確定申告を行うことが法律上の条件になっています。そして認定NPO法人や政党への寄付には、所得控除よりも有利になりやすい「税額控除」という選択肢が用意されており、条件が揃えば寄付額のかなりの割合が現金で戻ってきます。

この記事では、寄附金控除が年末調整の対象外である根拠、所得控除と税額控除(認定NPO法人・政党等)の選択ルール、寄付先ごとの扱いの違い、住民税側の控除の仕組み、そして確定申告での実務まで、国税庁のタックスアンサーに沿って整理しました。

【現場のリアル】寄附金受領証明書を年末調整の書類と一緒に出して突き返された話

認定NPO法人に毎月3,000円を寄付している会社員の方から聞いた話です。年末調整の時期に生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書と一緒に、その年に届いた寄附金受領証明書も封筒にまとめて総務に提出したそうです。数日後、総務の担当者から「これは年末調整では扱えないので、お手数ですがご自身で確定申告をお願いします」と証明書だけそのまま返却されたといいます。本人としては生命保険料控除と同じ扱いだと思い込んでいたため、最初は「なぜこれだけ別扱いなのか」と釈然としない気持ちだったそうですが、後で調べて、そもそも所得税法上、年末調整で処理できる項目そのものに寄附金控除が含まれていないことを知り、会社の対応が特別冷たかったわけではないと納得したとのことでした。同じように証明書を年末調整の束に紛れ込ませてしまう人は、経理の現場では珍しくないようです。


1. 寄附金控除は年末調整の対象外。確定申告が必須になる根拠

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年末調整で会社が処理できる控除項目は、所得税法で定められた範囲に限られています。寄附金控除はこの範囲に含まれていないため、証明書を会社に提出しても計算に反映されません。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」では、次のように説明されています。
『納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。』控除額は、その年に支出した特定寄附金の合計額とその年の総所得金額等の40パーセント相当額のいずれか低い金額から2,000円を差し引いた金額です。適用を受けるには、確定申告書に控除に関する記載をした上で、寄附金の受領証などの書類を添付するか提示する必要があります。
出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1150.htm
【寄附金控除(所得控除)の基本計算式】
控除額 =(その年の特定寄附金の合計額と総所得金額等の40%のいずれか低い方)- 2,000円

年末調整で会社が扱えるのは生命保険料控除や地震保険料控除、扶養控除など所得税法に列挙された項目だけで、寄附金控除はその外側にあるということです。年に一度、自分で確定申告書を作成して初めて反映される控除だと理解しておくと、証明書の扱いで戸惑うことがなくなります。


2. 認定NPO法人への寄付は「税額控除」を選べる。所得控除との違い

認定NPO法人や公益社団法人・公益財団法人への寄付については、通常の所得控除に代えて「税額控除」を選択できる場合があります。税額控除は算出された税額そのものから直接差し引く仕組みで、所得が低めの人ほど所得控除より有利になりやすいのが特徴です。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」では、次のように説明されています。
『認定NPO法人又は特例認定NPO法人に対する寄附金については、支払った年分の所得控除として寄附金控除の適用を受けるか、又は、税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができます。』税額控除額は「その年中に支払った認定NPO法人等寄附金の額の合計額から2千円を控除した金額の40%相当額」で、その年分の所得税額の25パーセント相当額が上限です。適用を受けるには、確定申告書に控除に関する記載をした上で「認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算明細書」と、寄附金を受領した旨や寄附金の額・受領年月日を証する書類の添付が必要です。
出典:国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1263.htm
【税額控除の計算式(認定NPO法人等・所得税)】
控除額 =(その年中に支払った寄附金の合計額 - 2,000円)× 40%
                           (所得税額の25%が上限)
【寄付金5万円を認定NPO法人に寄付した場合の試算】
・所得税の税額控除:(50,000円-2,000円)×40%=19,200円
・住民税の税額控除(自治体が条例で指定している場合):(50,000円-2,000円)×10%=4,800円

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-> 合計24,000円が税金から直接差し引かれ、実質の自己負担は26,000円になる

この計算はあくまで自治体側が条例で当該NPO法人を住民税控除の対象に指定している場合の話で、指定がなければ住民税分は控除されません。住んでいる自治体のホームページで対象法人一覧を確認するか、寄附金受領証明書に住民税控除の対象である旨の記載があるかを見るのが確実です。

【現場のリアル】確定申告書等作成コーナーで所得控除と税額控除を両方試算した話

認定NPO法人に年間6万円ほど寄付している方の話です。確定申告書等作成コーナーを開いて寄附金控除の欄まで進んだところ、所得控除と税額控除のどちらを選ぶか画面で聞かれ、どちらが得なのか分からずその場で固まってしまったそうです。とりあえず所得控除で入力して還付見込み額を確認し、一度前の画面に戻って今度は税額控除を選び直し、還付見込み額を見比べたといいます。結果として税額控除の方が還付額が大きく表示されたためそちらを選んだものの、「なぜ税額控除の方が得なのか、仕組みをちゃんと理解しないまま数字だけで決めてしまった」と後から振り返っていました。作成コーナーは両方の試算を自動でやってくれるわけではなく、自分で選択し直して比較する必要があるため、この行ったり来たりは実際によくあるようです。


3. 政党・政治資金団体への寄付は「政党等寄附金特別控除」

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政党や政治資金団体への寄付にも、認定NPO法人と同じ発想の税額控除制度が別に用意されています。控除率は40%ではなく30%です。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」では、次のように説明されています。
『個人が平成7年1月1日から令和11年12月31日までに支払った政党等に対する寄附金(政党等寄附金)については、所得税の確定申告の際、寄附金控除の適用を受けるか、又は次の算式で計算した金額について税額控除の適用を受けるか、いずれか有利な方を選択することができます。』特別控除額は「その年中に支払った政党等寄附金の額の合計額から2千円を控除した金額の30%相当額」で、所得税額の25パーセント相当額が限度、100円未満は切り捨てです。確定申告書には「政党等寄附金特別控除額の計算明細書」及び、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」の添付が必要です。
出典:国税庁「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1260.htm
【政党等寄附金特別控除の計算式】
控除額 =(その年中に支払った政党等寄附金の額の合計額 - 2,000円)× 30%
                             (所得税額の25%が上限、100円未満切捨て)

認定NPO法人への寄付とは根拠となる制度も添付書類も別物のため、両方に寄付をしている場合は、確定申告書の中でそれぞれ別の欄に記載することになります。


4. 寄付先の種別と、実際に適用できる控除の対応関係

寄付先によって使える制度が異なります。特に日本赤十字社は、所得控除の対象であることは確実な一方、40%の税額控除(公益社団法人等の税額控除)を受けられるかどうかは寄付先の証明の有無によって変わるため、一律に「40%戻る」と決めつけるのは危険です。

寄付先の種別代表的な団体例適用できる控除制度税額控除を選べる条件
認定NPO法人各分野の認定NPO法人所得控除(No.1150)または税額控除(No.1263、40%)認定NPO法人・特例認定NPO法人であること
公益社団法人・公益財団法人学校法人、社会福祉法人等を含む所得控除(No.1150)または税額控除(No.1266、40%)運営組織・事業活動の適正性等、一定の要件を満たすと証明されたもの
日本赤十字社日本赤十字社(特定公益増進法人)所得控除(No.1150)が基本税額控除の対象になるかは寄附金受領証明書の記載を要確認
国公立大学・私立大学母校の大学基金等所得控除、大学によっては税額控除大学が発行する証明書の記載を確認
政党・政治資金団体各政党、政治資金規正法上の団体所得控除または政党等寄附金特別控除(No.1260、30%)総務大臣等の確認印のある証明書があること
ふるさと納税(地方自治体)全国の都道府県・市区町村ふるさと納税の特例(寄附金控除)別枠の制度のため、この記事の対象とは計算方法が異なる

【現場のリアル】日本赤十字社の証明書に「税額控除対象」の記載がなくて戸惑った話

毎年の献血や社費として日本赤十字社に寄付をしている方の話です。認定NPO法人への寄付で税額控除が使えると知り、日本赤十字社への寄付も同じように40%戻るものと思い込んで確定申告書等作成コーナーで入力を進めたところ、税額控除の対象法人を選ぶ画面に日本赤十字社の名前が候補として出てこず、そこで初めて「あれ、赤十字は対象外なのか」と手が止まったそうです。結局その年は所得控除として処理し、還付額は想像していたより小さくなりました。後で赤十字支部に問い合わせたところ、寄付の種類や年によって扱いが変わる場合があるため、届いた受領証明書に記載されている控除の種類をそのまま確認するのが一番早いと案内されたとのことでした。認定NPO法人と公益法人をひとくくりに「寄付は40%戻る」と覚えてしまうと、こうした思い違いが起きやすいという話でした。


5. 税額控除には「所得税額の25%」という上限がある

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認定NPO法人等への寄付も政党等への寄付も、税額控除には共通して「その年分の所得税額の25パーセント相当額」という上限が設定されています。多額の寄付をしてこの上限を超えると、超えた分の税額控除は受けられません。

【上限に達するケース(所得税額30万円の人が認定NPO法人に多額の寄付をした場合)】
・税額控除の計算上の金額:40万円
・所得税額の25%という上限:300,000円×25%=75,000円
-> 実際に控除できるのは75,000円まで(残りは切り捨て)

このような場合は、税額控除ではなく所得控除を選んだ方が結果的に控除額が大きくなることもあります。確定申告書等作成コーナーでは両方の選択肢を入力し直して比較できるので、寄付額が大きい年ほど、面倒でも両方試算してから提出するのが無難です。


6. 住民税側の寄付金控除は「自治体の条例指定」が前提

所得税の寄附金控除とは別に、住民税にも寄付金税額控除の仕組みがありますが、これは寄付先の自治体(都道府県・市区町村)が条例で対象団体として指定している場合に限られます。ふるさと納税のように全国どこの自治体でも自動的に対象になるわけではない点が、実務上の見落としやすいポイントです。

【総務省の公式見解・1次情報】
総務省「ふるさと納税以外の寄附金税制」のページでは、個人住民税の寄附金税額控除について、都道府県・市区町村に対する寄附(ふるさと納税)のほか、都道府県内の社会福祉法人・更生保護法人への寄附、都道府県・市区町村が条例で指定した団体への寄附が対象になると説明されています。控除率については『都道府県が指定した場合は4%、市区町村が指定した場合は6%となります』とされ、両方が指定している場合は合わせて10%の控除になります。
出典:総務省「ふるさと納税以外の寄附金税制」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/79172_2_kojin.html

つまり、認定NPO法人や公益法人へ寄付をしても、住んでいる自治体がその団体を条例で指定していなければ、住民税側の控除は受けられません。所得税の寄附金控除(または税額控除)だけを受けて終わる年もある、ということです。

【現場のリアル】マイナポータル連携がうまくいかず証明書を手入力した話

認定NPO法人への寄付をマイナポータル経由で自動入力できると聞いて期待していた方の話です。確定申告書等作成コーナーでマイナポータル連携の案内に沿って進めたものの、連携できる寄附金として一覧に出てきたのはふるさと納税の分だけで、認定NPO法人への寄付は反映されませんでした。仕方なく寄附金受領証明書を手元に置いて、団体名、所在地、寄付日、金額を一つずつ画面に打ち込んでいったところ、証明書に印字された住所表記と入力フォームの住所欄の区切り方が微妙に違い、どこまでを番地欄に入れるべきか迷って何度か入力をやり直したそうです。最終的には無事に送信できたものの、寄付の連携対象はまだふるさと納税が中心で、それ以外の寄附金は基本的に自分で証明書を見ながら手入力するものだと覚悟しておいた方がいいという感想でした。


7. 確定申告に必要な「寄附金受領証明書」の保管ルール

寄付を行った団体からは、寄付後または年明けに寄附金受領証明書が郵送または電子交付されます。確定申告書には団体名・受領年月日・寄付金額を記載した上で、証明書そのものを添付するか、税務署の窓口で提示することが必要です(電子申告の場合は証明書の内容を入力し、原本は自宅で保管しておく運用が一般的です)。認定NPO法人等寄附金特別控除や政党等寄附金特別控除を選ぶ場合は、それぞれ専用の計算明細書も必要になるため、証明書は寄付先ごとに分けて保管しておくと、確定申告の時期にまとめて探す手間が省けます。


8. よくある質問(Q&A)

Q1. クラウドファンディング(READYFORやCAMPFIRE等)への支援は控除できますか。

A. 支援先が認定NPO法人や自治体など寄附金控除の対象団体で、寄附金受領証明書が発行される場合に限り対象になります。一般の個人や営利企業への応援購入・リターン購入は寄附金控除の対象にはなりません。

Q2. 街頭募金やコンビニのレジ横募金箱に入れた小銭は控除できますか。

A. 領収書や受領証明書が発行されないため、控除の対象にはできません。まとまった額を寄付したい場合は、証明書を発行してくれる団体の口座振込やクレジットカード決済を使う方が、後から確定申告に反映できます。

Q3. 認定NPO法人と特例認定NPO法人で扱いは違いますか。

A. 国税庁のNo.1263では、認定NPO法人と特例認定NPO法人のいずれも、所得控除と税額控除のどちらかを選択できると説明されています。ただし団体によって適用開始時期や証明書の様式が異なる場合があるため、受け取った証明書の記載内容を確認してください。


まとめ:寄附金控除は必ず自分で確定申告し、控除方式は比較してから選ぶ

寄附金受領証明書を受け取ったら、まずは年末調整の書類とは別に保管しておき、翌年の確定申告で所得控除と税額控除の両方を試算してから提出方式を決めるのが、実務上いちばん取りこぼしの少ないやり方です。

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