義理の親(配偶者の父母)も扶養に入れられる?3親等内の姻族の扶養条件と必要書類

義理の親(配偶者の父母)も扶養に入れられる?3親等内の姻族の扶養条件と必要書類のイメージイラスト
目次

「結婚相手の親の生活費を、実質うちが支えている」という家庭は少なくないはずです。妻の実家に毎月仕送りをしている、義父の入院費や施設の費用を立て替えている、そんな会社員が「これは年末調整の扶養控除に使えるのではないか」とふと気づくのは、たいてい保険料控除申告書のマス目を前にして手が止まった瞬間です。

「血のつながっていない義理の親でも、扶養控除の対象になるのか」

「妻が専業主婦で税金を払っていない場合、夫の年末調整で妻の両親を扶養に入れられるのか」

「申告書の続柄の欄には何と書けばいいのか」

そう疑問に思う人は多いでしょう。ここでは国税庁の一次情報にもとづいて、義理の親(配偶者の父母)を扶養に入れるための条件と、申告書の具体的な書き方を整理します。

1. 義理の親は扶養控除の対象になるのか

義理の親(配偶者の父母)も扶養に入れられる?3親等内の姻族の扶養条件と必要書類の制度・手続きイメージイラスト
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.1180 扶養控除」では、控除対象扶養親族となる「親族」について、配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)と定めています。この範囲は民法第725条が定める親族の定義(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)に沿ったもので、根拠となる条文は所得税法第2条第1項第34号です。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm

配偶者の父母は、民法上「1親等の姻族」にあたります。姻族とは自分の配偶者の血族、または自分の血族の配偶者を指す言葉で、3親等内であれば所得税法上の「親族」に含まれます。つまり義理の父・義理の母は、法律上は実の両親とまったく同じ枠組みで扶養控除の対象になり得るということです。

2. 扶養に入れるための3つの条件

義理の親であっても、実の親と同じ3つの条件をすべて満たす必要があります。

所得要件については、令和7年度の税制改正で基準が変わっています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
令和7年度税制改正により、扶養親族の合計所得金額の要件は「48万円以下」から「58万円以下」に引き上げられました。
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

義理の親の主な収入源が公的年金の場合、この所得58万円という基準を年金収入の額に置き換えて考える必要があります。国税庁タックスアンサー「No.1600 公的年金等の課税関係」に示された計算方法にもとづくと、65歳以上で公的年金等の収入が330万円以下の人の控除額は最低110万円です。所得58万円以下という要件に、この110万円の控除を当てはめると、年金収入がおおむね168万円以下であれば所得要件を満たす計算になります。改正前の基準(所得48万円以下)では年金収入158万円以下が目安でしたので、義理の親の年金額によっては、これまで対象外だった人が新たに扶養に入れられるようになった可能性があります。出典:国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

3. 年齢・同居別の控除額

義理の親(配偶者の父母)も扶養に入れられる?3親等内の姻族の扶養条件と必要書類の計算・シミュレーションイメージイラスト

義理の親であっても、実の親とまったく同額の控除が適用されます。

義理の親の年齢同居・別居の区分所得税の控除額住民税の控除額
70歳以上同居(同居老親等)58万円45万円
70歳以上別居(同居老親等に該当しない場合)48万円38万円
65歳〜69歳同居・別居問わず38万円33万円

70歳以上で「同居老親等」に該当すると控除額が10万円上がりますが、この「同居」の判定には注意が必要な落とし穴があります。

現場のリアル。老人ホーム入居で「同居老親等」の判定が変わった話

ある40代の会社員は、長年同居していた妻の母親が要介護状態になり、その年の秋に有料老人ホームへ入居したことを、年末調整の書類には特に意識せず書きませんでした。前年までと同じ感覚で「同居老親等」にチェックを入れて提出したところ、翌年になって税務署から確認の連絡が入ったといいます。総務担当者に事情を聞くと、病気治療のための長期入院であれば「同居」を継続しているものとして扱われるものの、老人ホームへの入所は生活の本拠を移したとみなされ、同居老親等には該当しないというのが国税庁の取り扱いだそうです。結果として控除額は58万円ではなく48万円となり、修正の手続きが必要になりました。その年の途中で親の生活状況が変わった場合は、同居の扱いが変わっていないか、一度立ち止まって確認したほうがいい、と苦い顔で話していました。

4. 実の両親と義理の両親を同時に扶養に入れる場合

自分の実の両親と、配偶者の両親の合計4人が要件を満たし、生活費を支援している場合、条件さえ揃えば4人全員を同時に自分の年末調整で扶養親族として申告できます。

たとえば実の両親2人と義理の両親2人がいずれも70歳以上・別居で要件を満たす場合、所得税の控除額は48万円が4人分で192万円、住民税の控除額は38万円が4人分で152万円になります。年収600万円台の会社員で、所得税の限界税率が10パーセント、住民税が10パーセントという前提で計算すると、所得税で約19万2千円、住民税で約15万2千円、合わせて年間30万円を超える税負担の軽減効果になります。実際の節税額は課税所得や他の控除の有無によって変わるため、あくまで目安として捉えてください。

現場のリアル。兄弟間の扶養の重複申告でもめた話

義理の親を含む複数の親族を扶養に入れる際に見落としがちなのが、扶養控除は1人の親族につき1人の納税者しか受けられないという原則です。ある家庭では、妻の父親を夫の年末調整で扶養に入れていたところ、翌年、妻の弟が結婚して独立した際、弟の配偶者控除等申告書にも同じ父親が扶養親族として記載されていたことが後になって判明しました。二重に控除を受けていた形になり、弟側の年末調整をやり直す事態になったといいます。義理の親を含め、複数のきょうだいや親族で扶養できる人物を支援している場合は、誰の申告書に載せるかを事前に家族間ですり合わせておく必要があります。

5. 年末調整の申告書の書き方と仕送りの実務

義理の親(配偶者の父母)も扶養に入れられる?3親等内の姻族の扶養条件と必要書類の完了・申告イメージイラスト

会社から配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「控除対象扶養親族」欄に、義理の親の氏名・マイナンバー・生年月日・住所・所得の見積額を記入します。続柄の欄には、夫の年末調整で妻の父親を書く場合は「妻の父」、妻の母親であれば「妻の母」と記入するのが一般的な書き方です。70歳以上で別居の場合は、老人扶養親族の区分欄で該当のチェックを入れます。

生計を一にしていることを説明できるよう、別居の義理の親に仕送りをしている場合は、送金の記録を残しておくことも実務上大切です。振込名義については、夫の口座から義理の親の口座へ直接送金するほうが、生計を一にしている関係を説明しやすくなります。妻の口座を経由すると、夫から妻への生活費の受け渡しなのか、義理の親への仕送りなのかが記録上わかりにくくなるため、可能であれば送金先の口座を直接指定しておくとよいでしょう。

6. 義理の兄弟姉妹や、配偶者と死別した後の扱い

配偶者の父母だけでなく、配偶者の兄弟姉妹(2親等の姻族)も3親等内の姻族に含まれるため、無職や病気療養中などで所得が要件内であり、生活費を継続的に支援していれば扶養控除の対象になり得ます。

配偶者が亡くなった後も、義理の両親との扶養関係は自動的には終わりません。

【国税庁の公式見解・1次情報】
姻族関係は、婚姻の解消と異なり、配偶者の死亡によって当然には終了しません。民法第728条第2項の規定により、生存配偶者が「姻族関係終了届」を役所に提出して意思表示をした場合に限り、その時点で姻族関係が終了します。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第728条第2項

つまり、配偶者を亡くした後でも、姻族関係終了届を出さない限り、義理の両親との親族関係は続いており、生計を一にしていれば引き続き扶養控除の対象にできます。逆に届出を提出すると、その日以降は3親等内の姻族ではなくなるため、扶養控除も適用できなくなります。

7. 年収帯別の節税額シミュレーション

義理の両親2人(別居・70歳以上)を扶養に入れた場合の控除額は、所得税で96万円(48万円×2人)です。国税庁タックスアンサー「No.2260 所得税の税率」の速算表にもとづく所得税の限界税率に、住民税率10パーセントを合わせた実効税率で概算すると、次のような節税額の目安になります。

給与年収所得税+住民税の実効税率の目安義両親2人分の控除額年間の節税額の目安
500万円20%960,000円約192,000円
700万円30%960,000円約288,000円
900万円33%960,000円約316,800円
1,200万円43%960,000円約412,800円

いずれも他の所得控除や税額控除を考慮しない概算です。正確な金額は、給与明細や源泉徴収票に記載された課税所得をもとに国税庁の速算表で確認してください。出典:国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

8. よくある質問

妻の兄弟がすでに義理の親を扶養に入れている場合はどうなりますか

扶養控除は1人の親族につき1人の納税者しか受けられないため、あなたの扶養に重ねて入れることはできません。先に触れた事例のように、後から二重申告が発覚すると修正の手間が発生します。誰が扶養に入れるかは、事前にきょうだいの間で確認しておいてください。

妻が亡くなった後も、義理の親を扶養に入れ続けることはできますか

できます。民法第728条第2項に定める姻族関係終了届を役所に提出していない限り、配偶者の死後も法律上の姻族関係は続いているため、生計を一にしていれば引き続き扶養控除の対象にできます。

義理の親の年金収入がいくらまでなら扶養に入れられますか

65歳以上で公的年金等の収入のみの場合、令和7年度改正後の所得要件(合計所得58万円以下)に、年金にかかる控除額の最低保障110万円を当てはめると、年金収入がおおむね168万円以下であれば要件を満たす計算になります。実際の所得金額は他の収入の有無によっても変わるため、正確な判定は源泉徴収票や年金の支払通知書の金額をもとに確認してください。

まとめ

配偶者の父母は民法上「1親等の姻族」にあたり、所得税法上も実の両親と同じ扶養控除の対象になります。年齢・所得・生計を一にしているかという3つの条件を満たしていれば、続柄欄に「妻の父」「妻の母」などと記入して申告できます。ただし老人ホーム入居による同居区分の変化や、きょうだい間での重複申告など、見落としやすい落とし穴もあります。控除額や所得要件は税制改正で変わることがあるため、年末調整のたびにその年の最新の基準を確認してください。

義理の親を含め、複数の扶養親族の年齢や所得を一つずつ確認しながら申告書を作るのは手間のかかる作業です。『書けた年末調整』では、扶養に入れたい家族の続柄と生年月日、収入の見込みを入力するだけで、該当する控除額をその年の基準にもとづいて自動で計算し、申告書の記入まで案内します。

この記事を友達や同僚にシェアする

年末調整で迷っている方に役立つ情報を届けてみませんか?

🔍 お悩み・キーワード検索

他の年末調整の疑問・用語を調べる

全160本の解説コラムから、知りたい単語ですぐに見つけられます(入力すると下に即時表示されます)。

お悩み解決コラム一覧(全160記事)を見る 申告書作成ツール(するんと入力)をはじめる トップページへ戻る
記事URLをクリップボードにコピーしました!