パート・アルバイトを掛け持ち(Wワーク)している場合の年末調整はどうなる?

パート・アルバイトを掛け持ち(Wワーク)している場合の年末調整はどうなる?のイメージイラスト
目次

「パートやアルバイトを2ヶ所以上で掛け持ちしているけど、年末調整ってどうすればいいの?」

「両方の職場で『扶養控除等申告書』を渡されたけど、どっちに出せばいいの?」

Wワーク(掛け持ち)で働いていると、年末調整の時期になるたびにこの二つの疑問にぶつかります。出す先を間違えると税金を払いすぎたままになりますし、確定申告を放置すると翌年になって税務署から連絡が来ることもあります。

年末調整ができるのは、法律上「メインの職場1ヶ所」だけです。サブの職場でもらったお給料については、自分で「確定申告」をして精算する必要があります。この根拠は国税庁のタックスアンサーに明記されているので、まずはそこから確認していきます。


1. 掛け持ち(Wワーク)の場合、年末調整はどうなる?

パート・アルバイトを掛け持ち(Wワーク)している場合の年末調整はどうなる?の制度・手続きイメージイラスト

年末調整できるのは「1ヶ所」だけ

年末調整とは、1年間(1月〜12月)のお給料から正しい所得税を計算し直し、毎月のお給料から天引きされていた源泉徴収税額との過不足を精算する手続きです。払いすぎていれば戻ってきますし、足りなければ追加で徴収されます。

2ヶ所以上から給料をもらっている場合の扱いについて、国税庁は次のように説明しています。

2か所以上から給与の支払を受けている人の給与に対する源泉徴収は、その人に支払う給与が主たる給与になるか、従たる給与になるかにより異なります。主たる給与とは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与をいい、主たる給与の源泉徴収税額は税額表の「甲欄」により求めます。従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の者が支払う給与をいい、従たる給与の源泉徴収税額は税額表の「乙欄」により求めます。……原則として、従たる給与については年末調整はできませんので、所得者本人が確定申告することにより所得税及び復興特別所得税の精算を行う必要があります。
―― 国税庁 No.2520「2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2520.htm)

つまり、実務上はこう整理できます。

「メイン」とは単に給料が多い方という意味ではなく、扶養控除等申告書をどちらに提出したかで決まります。実務上は一番給料の多い職場に提出するのが自然ですが、法律上決めているのは金額ではなく提出先である点は押さえておいてください。

「扶養控除等申告書」は同時に2枚出せない

扶養控除等申告書は、同じ年に2つ以上の会社へ重複して提出することができません。両方の職場からこの書類を渡された場合は、給料の多い方(メインにしたい職場)にだけ記入して提出し、もう一方の職場には「別の職場で年末調整をするので、こちらでは提出しません」と伝えます。

サブの職場に出さなかったからといって、その職場での勤務や給料の受け取りに問題が生じるわけではありません。単に、その職場の税額計算が「乙欄」という、扶養親族等の人数を加味しない区分で行われるだけです。

掛け持ちの年末調整は、書類をどちらに出すかを間違えなければ大きくつまずくことはありません。それでも「今年の書き方はこれで合っているか」と不安な方は、スマホで質問に答えるだけで書類が仕上がる『書けた年末調整』のようなサービスを併用すると、記入ミスを減らせます。

2. 現場のリアル・体験談 ―― 実際にあった落とし穴と対処法

コンビニと居酒屋を掛け持ちしていたある方は、11月に入って両方の職場から同時に扶養控除等申告書を渡され、「これ、両方に出していいのか、それとも片方だけなのか」がわからず数日放置してしまいました。結局どちらにも出さないまま提出期限を過ぎそうになり、慌ててコンビニ(給料が多い方)の担当者に確認したところ、「うちに出してもらえれば年末調整します、居酒屋さんには出さないでください」と言われてようやく決着しました。書類を渡された時点で「どちらが主たる給与か」を自分で判断しなければならない仕組みを知らなかったために起きた、よくある足止まりです。

別の方は、サブで入っていた飲食店のアルバイト代の明細を見て、月8万円ほどの給料なのに税金が思ったより多く引かれていることに気づき、「本業のシフトより時給がいいはずなのに、なぜこんなに引かれるのか」と不安になりました。理由は、扶養控除等申告書を提出していないサブの職場では源泉徴収税額表の「乙欄」が適用され、甲欄のように扶養親族等の数に応じた調整が行われないためです(国税庁 No.2511「税額表の種類と使い方」)。多く引かれた分は、翌年の確定申告で精算すれば戻ってくる仕組みですが、それを知らないまま「損をしている」と思い込み、サブの仕事を辞めてしまいそうになったケースもあります。

さらに実際にあったのが、メインの職場で年末調整を終えたことに安心し、サブの職場の源泉徴収票をもらったまま確定申告をせずに放置してしまった例です。この方はサブの年収が20万円をわずかに超えていたため本来は申告が必要だったのですが、翌々年になって税務署から「給与に関するお尋ね」という書面が届き、そこで初めて未申告に気づきました。結果的に還付されるはずだった税金を受け取れないまま時効に近づいたうえ、無申告加算税や延滞税が発生するリスクもあったため、税務署の相談窓口で事情を説明しながら期限後申告をする羽目になりました。サブの源泉徴収票は「もらって終わり」ではなく、確定申告まで使う書類だという意識を持つことが大切です。


3. パート・アルバイト掛け持ち時の手続き手順

パート・アルバイトを掛け持ち(Wワーク)している場合の年末調整はどうなる?の計算・シミュレーションイメージイラスト

掛け持ちで働いている場合、年末から翌年の春にかけて、以下の3つのステップで手続きを進めます。

ステップ①:メインの職場で年末調整をする

まずは、一番お給料の多いメインの職場で年末調整を行います。

職場から配られる「扶養控除等(異動)申告書」や「基礎控除申告書」などに必要事項を記入し、期日までに提出しましょう。これで、メインの職場での税金の計算は完了です。

ステップ②:サブの職場から「源泉徴収票」をもらう

サブの職場では年末調整が行われませんが、その年に支払われたお給料の合計額や、天引きされた税金が書かれた「源泉徴収票」が発行されます(多くの場合、翌年の1月頃に渡されます)。

これは後の「確定申告」で必ず必要になる大切な書類なので、無くさないように保管してください。

ステップ③:翌年2月〜3月に自分で「確定申告」をする

メインの職場で年末調整が終わっても、サブの職場で稼いだお給料の税金計算が終わっていません。

そこで、メインの職場の源泉徴収票サブの職場の源泉徴収票の2つを合わせて、自分で税務署へ行き(またはスマホ・パソコンから)「確定申告」を行います。

手続きどこで行う?いつ頃?必要なもの
年末調整メインの職場11月〜12月頃各種控除申告書、生命保険の控除証明書など
確定申告税務署(またはオンライン)翌年2月16日〜3月15日全ての職場の源泉徴収票、マイナンバーカード

4. 確定申告をしなくていいケースもある?

原則として、掛け持ちをしている場合は確定申告が必要ですが、例外として不要になるケースもあります。国税庁は確定申告が必要な人の条件を次のように定めています。

給与を1か所から受けている人で給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人などのほか、2か所以上から給与を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人は、確定申告をしなければなりません。
―― 国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)

これを裏返すと、メインの職場で年末調整を受けており、サブの職場の給料(年末調整されなかった給与)が1年間(1月〜12月)で20万円以下であれば、所得税の確定申告をする義務はありません。

ただし、この「20万円以下なら申告不要」という規定は、あくまで所得税の話です。お住まいの市区町村への「住民税の申告」は、所得税の申告が不要な場合でも別途必要になります(住民税は各市区町村の条例に基づいて課されるため、国税庁の20万円ルールがそのまま適用されるわけではありません)。住民税の申告を忘れると、翌年度の税額決定が正しく行われず、保育園の利用調整や公営住宅の審査といった所得証明を使う場面で後から不整合が出ることがあります。市区町村の税務担当窓口やホームページで、申告要否を確認しておくと安心です。

なお「20万円以下なら何もしなくていい」と誤解されがちですが、これは確定申告をしなくてもよいという規定であって、20万円以下の所得を確定申告に含めなくてよいという意味ではありません。医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例が使えなかった場合の還付申告など、別の理由で確定申告をするなら、20万円以下のサブの給料も含めて申告する必要があります。


5. バイト掛け持ちさんが気をつけるべき注意点

パート・アルバイトを掛け持ち(Wワーク)している場合の年末調整はどうなる?の完了・申告イメージイラスト

扶養の年収ラインは「合算」で判断する

親や配偶者の扶養に入りながら働いている方は、「年収を一定額に抑えなきゃ」と意識していると思います。この年収は、全ての職場の収入の合計額で判定されます。「A社で80万円、B社で40万円だから、どちらの会社も基準額を超えていないのでセーフ」というわけではありません。合計120万円として扶養の判定に使われます。

なお、扶養控除の対象となる合計所得金額の要件は、令和7年度税制改正により48万円以下から58万円以下へ引き上げられ、給与収入のみの場合の目安額も従来の「103万円」から変わっています(国税庁 No.1180「扶養控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm)。さらに令和8年度税制改正でも基礎控除の見直しが行われているため、その年の正確な金額は国税庁の特設ページ(https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/index.htm)で必ず確認してください。ここで動かない原則は一つで、複数の職場の収入は合算して判定するということです。

サブの職場では所得税が高く引かれる(乙欄適用)

お給料の明細を見ると、サブの職場では所得税が毎月多めに引かれていることに気づくかもしれません。扶養控除等申告書を出していないサブの職場では、国税庁 No.2511「税額表の種類と使い方」が示すとおり、税額表の「乙欄」が適用されます。甲欄は扶養親族等の数に応じて税額を調整しますが、乙欄にはその調整がないため、同じ給料水準でも源泉徴収される所得税はサブの職場の方が高くなります。多く引かれた分は、翌年の確定申告で精算すれば還付金として戻ってきます。

会社に掛け持ち(副業)を知られたくない場合

「メインの職場に、他のバイトをしていることを知られたくない」という方もいます。確定申告の際、住民税の徴収方法を「特別徴収(給料から天引き)」のままにすると、メインの職場にサブの分も合算された住民税額の通知がいき、そこから副業に気づかれることがあります。知られたくない場合は、確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で、徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えておきましょう。自治体によっては普通徴収を選んでも給与所得に係る分は特別徴収に回す運用をしている場合があるため、不安な場合は事前に市区町村の窓口で確認しておくと確実です。


6. よくある質問

Q. 両方の職場から扶養控除等申告書を渡されました。どちらに出せばいいですか。

給料が多い方の職場に提出し、もう一方には「別の職場で年末調整をするため提出しません」と伝えます。同じ年に2社へ重複して提出することはできません。

Q. サブの職場の源泉徴収票をなくしてしまいました。どうすればいいですか。

給与を支払った会社(サブの職場)に再発行を依頼してください。給与の支払者には源泉徴収票を交付する義務があります。確定申告の期限までに間に合わない場合は、税務署の窓口で事情を説明し、対応方法を相談してください。

Q. 確定申告をしないまま何年か放置してしまいました。今からでも申告できますか。

できます。期限後申告として今からでも提出可能です。無申告加算税や延滞税が発生する場合がありますが、放置し続けるより早く申告した方が負担は小さくなります。心当たりがある場合は、早めに税務署か税理士に相談してください。

Q. サブの職場の年収が20万円をわずかに超えそうです。何を基準に判断すればいいですか。

1月から12月の、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の各種所得の合計額が20万円を超えるかどうかで判断します(国税庁 No.1900)。ぎりぎりの金額の場合は、源泉徴収票の支払金額欄で正確に確認しましょう。


まとめ:掛け持ちの場合は「メインで年末調整+自分で確定申告」

パートやアルバイトを2ヶ所以上で掛け持ちしている場合の年末調整について整理します。

  1. 年末調整はメインの職場(扶養控除等申告書を提出した1ヶ所)のみで行う(国税庁 No.2520)
  2. 両方の職場から必ず「源泉徴収票」をもらう
  3. 翌年2月16日〜3月15日に、合算して「確定申告」を行う。サブの収入が20万円以下なら所得税の確定申告は不要だが、住民税の申告は別途必要(国税庁 No.1900)

掛け持ちで働いていると手続きの手間は増えますが、乙欄で多く引かれた所得税は確定申告をすれば戻ってきます。放置してしまうと後から税務署の連絡を受けて慌てることになるので、年末に向けてメインの職場で年末調整を終わらせ、サブの職場の源泉徴収票を手元に揃えておきましょう。

この記事を友達や同僚にシェアする

年末調整で迷っている方に役立つ情報を届けてみませんか?

🔍 お悩み・キーワード検索

他の年末調整の疑問・用語を調べる

全160本の解説コラムから、知りたい単語ですぐに見つけられます(入力すると下に即時表示されます)。

お悩み解決コラム一覧(全160記事)を見る 申告書作成ツール(するんと入力)をはじめる トップページへ戻る
記事URLをクリップボードにコピーしました!