産休・育休中の年末調整はどうなる?配偶者控除で夫の扶養に入る条件と手続き

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目次

はじめに

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「産休・育休に入って給与が減ったけど、今年の年末調整はどうなるの?」

「育児休業給付金をもらっている場合、夫の扶養に入れるって本当?」

初めての産休・育休は、会社から届く年末調整の書類を前にして手が止まる瞬間の連続です。自分の分の年末調整はどう書けばいいのか、育児休業給付金は「収入」に数えていいのか、夫の会社に出す書類には何を書けばいいのか。ネットで調べても記事によって「103万円の壁」だったり「130万円の壁」だったり書いてある数字がバラバラで、余計に不安になった方もいるはずです。

産休・育休中でも、その年に一度でも給与をもらっていれば自分の年末調整は必要です。そして条件を満たせば、夫の「配偶者控除」または「配偶者特別控除」に入って世帯全体の税金を下げることもできます。この記事では、国税庁の公式情報にもとづいて、実際にどの書類にどの数字を書けばいいのかを具体的に整理します。

1. 産休・育休中も自分の年末調整はあるの?

休職中でも、その年の1月1日から12月31日までに一度でも会社から給与を受け取っていれば、年末調整の対象になります。産休に入る直前まで働いていた分の給与から所得税が天引きされているはずなので、その精算のために年末調整は必要です。

出産手当金・育児休業給付金は「収入」に数えない

産休中・育休中にもらえる次の給付金は、いずれも非課税所得です。

出産手当金と出産育児一時金は、健康保険法第62条の規定により課税されないことになっています。育児休業給付金も、雇用保険の失業等給付に準ずる給付として所得税が課されません。国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、この2つの給付金についてそれぞれ次のように明記されています。

出産育児一時金や出産手当金は、健康保険法第62条の規定により課税されないこととなっていますので、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるかどうかを判定する場合の「合計所得金額」には含めません。
出典:国税庁「出産育児一時金の支給を受けている配偶者」 https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat2/cat22/cat22a/cid022.html
育児休業給付金は非課税所得ですので、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるかどうかを判定する場合の「合計所得金額」には含めません。
出典:国税庁「育児休業基本給付金の支給を受けている配偶者」 https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat2/cat22/cat22a/cid023.html

つまり年末調整の「収入」としてカウントされるのは、休業に入る前に実際に振り込まれていた給与や賞与だけです。年の途中で休職して給与の総支給額が少ない年は、毎月天引きされていた所得税を納めすぎている状態になっているケースが多く、自分の会社で年末調整をすることで還付金として戻ってきます。産休・育休中だからと年末調整を後回しにせず、必ず自分の勤め先に手続きしましょう。

【現場のリアル】自分の年末調整書類、どう答えればいいかわからず総務に電話した話

産休中に会社から年末調整の書類一式が自宅に郵送されてきて、そこで固まってしまったという話はよく聞きます。「扶養控除等申告書」の欄に「本人所得の見積額」を書く箇所があり、そこに育児休業給付金の見込み額まで含めて書いてしまいそうになった、というケースです。実際には出産手当金も育児休業給付金も所得に含めないため、書くべきなのは休業に入る前の給与収入だけなのですが、書類の説明文だけではその判断がつきにくく、結局産休中に会社の総務担当へ電話をして「給付金は書かなくていいんですよね」と確認したという体験談は少なくありません。育休中は職場と距離ができている分、こうした細かい確認を後回しにしがちですが、記入欄で迷ったら自己判断で埋めずに一本電話を入れるのが結局いちばん早い解決策です。

2. 産休・育休中は夫の「扶養(配偶者控除)」に入れるチャンス

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年の途中で産休・育休に入り、年間の給与収入が減った場合、夫の年末調整で「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を受けられる可能性が高まります。妻の税金の話ではなく、夫の税金が安くなることで世帯全体の手取りが増えるという仕組みです。

配偶者控除・配偶者特別控除の条件(令和7年分以降の基準)

令和7年分の税制改正により、いわゆる「年収の壁」の金額が引き上げられています。妻の年間給与収入(1月〜12月分、出産手当金・育児休業給付金は含めない)が次のいずれに該当するかで、夫が受けられる控除の種類と金額が変わります。

妻の年間給与収入(見込み)控除の種類夫が受けられる控除額(最大)
123万円以下配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者は48万円)
123万円超〜201万6千円未満配偶者特別控除38万円〜1万円(段階的に減少)
201万6千円以上対象外0円

国税庁のタックスアンサーでは、配偶者控除・配偶者特別控除の要件が次のように定められています。

控除対象配偶者に該当するための要件の一つは「年間の合計所得金額が58万円以下(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)」であることです。控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額に応じて定められており、本人の合計所得金額が900万円以下であれば、一般の控除対象配偶者につき38万円です。ただし本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
配偶者に58万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201万6千円未満)であれば、その所得金額に応じて一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者特別控除といいます。なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm

123万円という数字は、合計所得金額の基準である58万円に、給与所得控除の最低保障額65万円を足したものです(58万円+65万円=123万円)。以前は「103万円の壁」と呼ばれていましたが、令和7年分から58万円・65万円へとそれぞれ引き上げられたため、給与収入の基準も123万円に変わっています。産休・育休の年に限らず、去年までの記事や知人の体験談を参考にすると103万円という古い数字のままになっていることがあるため、必ず今年分の基準で見積もることが重要です。

また、控除を受ける夫の側にも要件があります。夫のその年の合計所得金額が1,000万円以下(給与収入のみの場合は1,195万円以下)であることが、配偶者控除・配偶者特別控除どちらにも共通する条件です。

【現場のリアル】所得区分の階段を1段勘違いして控除額がずれていた話

配偶者特別控除は、妻の合計所得金額が58万円超133万円以下の範囲を複数の階段状の区分に分けて、それぞれに対応する控除額(38万円〜1万円)が決まる仕組みです。この階段を1段ずれて読んでしまい、実際より控除額が少ない、あるいは多い金額で夫の扶養控除等申告書を書いてしまうケースがあります。産休中に育児休業給付金の見込み額を給与収入と混同したまま「妻の所得見積額」欄の区分を選んでしまい、年末調整のやり直しになった、という相談は総務の現場でも珍しくありません。妻の年間給与収入を先に確定させてから、給与所得控除を引いた「所得金額」で区分表を1行ずつ照らし合わせる、この順番を崩さないことが階段のずれを防ぐいちばん確実な方法です。

3. 夫の扶養に入るための年末調整の手続き方法

夫の年末調整で控除を受けるためのステップは以下の通りです。

ステップ①:妻の年収(給与のみ)を計算する

休業前にもらった源泉徴収票や給与明細を確認し、今年1月〜12月に自分の会社から振り込まれた「給与+賞与の総支給額(非課税の通勤手当は除く)」を計算します。出産手当金・出産育児一時金・育児休業給付金は、繰り返しになりますがここには含めません。

ステップ②:夫の会社に書類を提出する

夫の年末調整の際に、「給与所得者の配偶者控除等申告書」に妻の収入見込額を記入して提出してもらいます。この申告書の「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」という欄に、ステップ①で計算した「給与の総支給額」から給与所得控除を差し引いた所得金額を記入します。給与収入から所得への変換が面倒に感じる場合は、申告書自体に早見表が印刷されていることが多いので、そこに当てはめれば手計算をせずに済みます。

【現場のリアル】育児休業給付金を所得に含めて書き直しになった話

夫の扶養控除等申告書を書く際、「妻の合計所得金額の見積額」の欄に、育児休業給付金や出産手当金の見込み受給総額まで足し込んでしまい、実際の所得より数十万円多い金額を記入してしまったという体験談があります。育休中は給与よりも給付金の方が手取りの実感として大きいため、家計簿の感覚でつい合算してしまうのが原因です。この状態で提出すると、本来は配偶者控除の対象(123万円以下)になるはずが、配偶者特別控除の対象、あるいは対象外と誤って判定されてしまい、年末調整のやり直しや後日の還付申告が必要になります。夫の会社に提出する前に、給付金を除いた「給与だけの所得見積額」を紙に書き出して確認する一手間が、書き直しを防ぐ最も確実な対処法です。


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4. 産休・育休中の年末調整に関するよくある質問(FAQ)

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Q1. 夫の扶養に入るのは一時的(今年だけ)でも大丈夫?

はい、大丈夫です。国税庁タックスアンサーNo.1191では、控除対象配偶者に該当するかどうかは「その年の12月31日の現況」で判定すると定められています。産休・育休中で給与が減った年だけ夫の扶養に入り、職場復帰して年収が201万6千円を超えた年には扶養から外れる、という年ごとの判定で問題ありません。

Q2. 妊娠・出産で医療費がたくさんかかりました。何か控除はありますか?

医療費控除が受けられます。国税庁タックスアンサーNo.1120によると、医療費控除の額は「支払った医療費の合計額から、出産育児一時金などで補填される金額を差し引いた額」から、さらに「10万円」と「その年の総所得金額等の5パーセント」のいずれか少ない方を差し引いて計算します。

その年分の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく「総所得金額等の5パーセント」の金額を差し引きます。
出典:国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

つまり産休・育休で給与が少なく総所得金額等が200万円未満の年は、10万円ではなく5パーセントの基準が使われるため、医療費の合計が10万円に届かなくても医療費控除の対象になることがあります。医療費控除は年末調整では申請できないため、翌年2月16日から3月15日の間に自分で確定申告を行う必要があります。家族全員分の医療費を合算できるので、一番所得の高い人(多くは夫)の名義で申告した方が還付額は大きくなります。

Q3. 育児休業給付金は本当に「所得」に一切関係ないの?

配偶者控除・配偶者特別控除の判定に使う「合計所得金額」には一切含めません。国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、育児休業給付金は非課税所得であり合計所得金額に含めないと明記されています。ただし、これはあくまで税金(所得税・住民税)の話であり、社会保険の被扶養者認定(年収130万円の壁)では育児休業給付金を収入として扱う保険者もあります。税金の扶養と社会保険の扶養は判定基準が別物なので、混同しないよう注意してください。

5. まとめ:産休・育休中は世帯全体の税金を見直そう

産休・育休中の年末調整のポイントを整理します。

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子育ての年は出費もかさむ時期です。数字の見積もりを1段でも間違えると年末調整のやり直しに直結するので、給付金と給与を混同せず、今年分の基準で正確に見積もることを意識してください。手続きが煩雑に感じるときは、スマホで完結するクラウド年末調整『書けた年末調整』のようなサービスの活用も選択肢の一つです。

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