年収2,000万円を超える高所得サラリーマンはなぜ年末調整を受けられないのか?確定申告の義務と高所得者の税金

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「会社から『年収2,000万円を超えているため、年末調整の対象外です』と言われた……」

「なぜ給料が2,000万円を超えると、会社で年末調整をしてくれなくなるの?」

役員、医師、外資系コンサルタント、大手金融機関の管理職、ITメガベンチャーのエンジニアなど、年間の給与収入が2,000万円を超える人は、法律上、会社の年末調整を受けることができません。

会社の総務から年末調整の書類そのものが配られず、「年明けにご自身で確定申告をお願いします」と告げられて戸惑う人は少なくありません。

国が年収2,000万円超の給与所得者を年末調整の対象から外しているのは、思いつきの線引きではなく、給与所得控除の上限、基礎控除の逓減と消失という、税法上の仕組みに基づいた理由があります。

年収2,000万円を1円でも超えた人は、翌年3月15日までに税務署へ確定申告をすることが法律上の義務になります。

この記事では、年収2,000万円超で年末調整が受けられなくなる法的な根拠から、年調未済の源泉徴収票の読み方、確定申告の進め方、そして高所得者が検討する節税の選択肢まで、国税庁の公式情報をもとに整理しました。


1. 所得税法第190条に定められた「2,000万円」の壁

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会社が行う年末調整の対象者は、所得税法第190条で次のように定められています。

【国税庁・e-Gov法令検索の公式見解・1次情報】
所得税法第190条(年末調整)は、給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者のうち、その年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2,000万円以下である者を年末調整の対象としています。逆にいえば、その年中の給与等の金額が2,000万円を超える人は、この年末調整の対象から外れることになります。
出典:e-Gov法令検索「所得税法」第190条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033 / 国税庁「法第190条《年末調整》関係」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/32/01.htm

この条文に対応する形で、国税庁のタックスアンサーでも確定申告が必要な人の筆頭として、この基準が明記されています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、確定申告をしなければならない人の一つ目の条件として「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」を挙げています。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
【年収2,000万円プレイヤーの税務ルール】
① 会社の年末調整 → 法律上、対象外(会社は年末調整を行わず「年調未済」で処理)
② 税務署への確定申告 → 法律上の義務(翌年3月15日までに提出)

年収2,000万円1円の人であっても、この基準を超えている以上、会社の年末調整を受けることはできません。

【現場のリアル】昇進で年収2,000万円を超え、総務から告げられて動揺した話

昇進と昇給が重なり、初めて年収が2,000万円台に乗ったという方から聞いた話です。11月末、いつも通り年末調整の書類を提出しようとしたところ、総務の担当者から「今年から年収が2,000万円を超えているので、年末調整の対象外になります。確定申告は年明けにご自身でお願いします」と告げられたそうです。本人としては昇進を素直に喜んでいた矢先だったこともあり、「対象外」という言葉だけが引っかかり、何か自分に問題があったのではないかと一瞬身構えてしまったといいます。生命保険料控除の証明書や住宅ローン残高証明書を毎年きちんと会社に提出してきただけに、「これまで会社任せにしていた手続きを、来年から全部自分でやらなければいけないのか」という戸惑いのほうが、昇進の喜びよりも大きかったと振り返っていました。総務からは「制度上のルールなので、あなただけの話ではありません」と説明を受けて落ち着いたものの、書類一式をどこにしまってどう申告すればいいのか分からないまま年末を迎えることになったそうです。


2. なぜ2,000万円超は年末調整の対象から外れるのか

2,000万円という基準線が引かれている背景には、給与所得控除と基礎控除という、給与所得者の税額計算に関わる2つの控除の仕組みがあります。

まず、給与収入から差し引かれる給与所得控除には上限があります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1410 給与所得控除」では、給与等の収入金額が850万円を超える場合の給与所得控除額は195万円(上限)と定められています。収入がこれ以上増えても、給与所得控除の金額はそれ以上増えません。
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

さらに、すべての納税者に適用される基礎控除も、合計所得金額が一定額を超えると段階的に減っていき、最終的にはゼロになります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1199 基礎控除」では、合計所得金額に応じた基礎控除額を定めており、2,400万円超2,450万円以下は32万円、2,450万円超2,500万円以下は16万円、2,500万円超は基礎控除の適用なし(0円)とされています。
出典:国税庁「No.1199 基礎控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円(控除なし)

給与所得控除は収入850万円で頭打ちになり、基礎控除は所得2,400万円から段階的に減っていく。この2つの控除が、収入が増えるほど「一律の会社の計算」になじまなくなっていくため、年収2,000万円という水準で線を引き、確定申告という個別の精算に切り替える制度設計になっていると考えられます。加えて、この年収帯の人は役員報酬や不動産所得、株式の配当・譲渡益など、給与以外の所得を併せ持っているケースも多く、会社の年末調整だけでは税額を正しく確定できない事情も背景にあります。


3. 会社から受け取る「年末調整未済」の源泉徴収票の見方

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12月から1月にかけて会社から交付される源泉徴収票には、年末調整を行っていないことを示す印字があります。

### 年収2,000万円超の源泉徴収票の特徴
- [ 支払金額 ]:実際の年収額
- [ 給与所得控除後の金額 ]:空欄になっていることが多い
- [ 所得控除の額の合計額 ]:空欄になっていることが多い
- [ 源泉徴収税額 ]:毎月天引きされた所得税の単純合計額が記載
- [ 摘要 ]:「年調未済」と印字されている

この「年調未済」の源泉徴収票をもとに、年明けに自分で確定申告書を作成することになります。空欄が多いのは記載漏れではなく、会社側で控除の計算をしていないためで、正常な状態です。

【現場のリアル】源泉徴収票の「年調未済」の意味が分からず税理士に相談した話

初めて年調未済の源泉徴収票を受け取った方の話です。例年であれば「給与所得控除後の金額」や「所得控除の額の合計額」の欄に数字がびっしり入っていたのに、その年に限って肝心の欄が軒並み空欄になっていて、摘要のところに小さく「年調未済」と書かれているのに気づいたそうです。最初は「会社が処理を忘れたのではないか」と疑い、経理に問い合わせようか迷ったものの、聞くタイミングを逃したまま年が明けてしまったといいます。結局、知人に紹介してもらった税理士に源泉徴収票をそのまま見せて相談したところ、「年収が2,000万円を超えた人は、そもそも会社側で年末調整をする権限がないので、この空欄は正しい状態です」と説明を受け、そこで初めて自分の申告義務を正確に理解できたとのことでした。専門用語が並ぶ紙切れ一枚で、自分の税務上の立場が根本から変わっていたことに、後から少し驚いたと話していました。


4. 確定申告の進め方

会社の年末調整の代わりに、自分で行う確定申告の大まかな流れです。

ステップ1: 会社から「年調未済」と記載された源泉徴収票(原本)を受け取る。
ステップ2: 1年間に支払った生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、
      iDeCoの掛金払込証明書、住宅ローン残高証明書、ふるさと納税の
      受領書、医療費の領収書などを手元に集める。
ステップ3: 国税庁の確定申告書等作成コーナー(スマホ・パソコン対応)で
      必要事項を入力し、e-Taxで送信して税額を精算する。

提出期限についても、国税庁のタックスアンサーで明確に定められています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.2020 確定申告」では、所得税及び復興特別所得税の確定申告の申告等の期間について、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までと定めています。
出典:国税庁「No.2020 確定申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm

【現場のリアル】初めて確定申告書等作成コーナーを使い、不安のまま入力した話

会社員になって以来ずっと年末調整だけで済ませてきた方が、初めて確定申告書等作成コーナーを開いたときの話です。源泉徴収票を手元に置いてパソコンで入力を始めたものの、「給与所得」「所得控除」「税額控除」といった項目が次々と現れ、どこにどの数字を入れればいいのか分からず、途中で何度も手を止めてしまったそうです。特に不安だったのは、住宅ローン控除やiDeCoの証明書の数字を入力欄に転記する作業で、一桁でも間違えたら追徴課税されるのではないかと気になり、入力しては見直し、また入力しては見直しを繰り返していたといいます。最終的には作成コーナーの入力ガイドと控除証明書を何度も見比べながら、夜遅くまでかけてなんとか申告書を完成させ、e-Taxで送信し終えたときには、還付金額よりも先に「とりあえず終わった」という安堵のほうが大きかったと話していました。会社が代わりにやってくれていたことの重みを、この一回の申告で実感したそうです。


5. よくある質問(Q&A)

年収2,000万円を超える高所得サラリーマンはなぜ年末調整を受けられないのか?確定申告の義務と高所得者の税金の完了・申告イメージイラスト

Q1. 確定申告をせずにいるとどうなりますか。

期限内に申告をしないと、本来納めるべき税額に加えて無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。給与の支払者は毎年、支払った給与の額を記載した給与支払報告書を市区町村や税務署に提出しているため、高額な給与を受け取っている人の申告漏れは把握されやすい構造になっています。期日内の申告を心がけることが、結果的に自分の負担を軽くします。

Q2. 配偶者控除や扶養控除は確定申告で受けられますか。

配偶者控除は、控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できません。国税庁「No.1191 配偶者控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm)でも、本人の合計所得金額1,000万円以下が要件の一つとされています。年収2,000万円超の人の多くはこの所得要件に該当しないため配偶者控除は使えませんが、子どもの扶養控除(16歳以上が対象)や障害者控除などは、要件を満たせば確定申告で通常どおり適用を受けられます。


6. 年収3,000万円超で検討される「プライベートカンパニー」という選択肢

給与年収が2,000万円から3,000万円台に達すると、所得税の最高税率45%に住民税10%を合わせた実効税率が、所得の高い部分について50%を超える水準になります。

このレベルの高所得者の間では、家族を役員にした資産管理会社を設立し、不動産投資やコンサルティング業務の一部を法人化して、法人税率(実効税率でおおむね23%から33%程度とされる水準)を適用させる方法が選択肢として語られることがあります。ただし法人化には設立・維持のコストがかかるうえ、給与を家族に分散する場合は業務実態が伴っていなければ税務上否認されるリスクもあるため、実行する際は税理士に個別の試算と適法性の確認を依頼するのが前提になります。

まとめ:年収2,000万円超は「会社任せ」から「自分で管理」への切り替えどころ

年収が上がるほど、税金の仕組みは会社任せから自分で管理するものへと変わっていきます。源泉徴収票の見方や確定申告の手順を早めに把握しておけば、年が明けてから慌てずに済みます。

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