「メルカリやヤフオクで年間数十万円の売上があったけれど、会社の年末調整で申告しなきゃいけないの?」
「家の片付けで服やゲームを売って得たお金にも、税金ってかかるの?」
フリマアプリの普及で、自宅の不用品を売って年間数万円から数十万円のお小遣いを得ているサラリーマンや主婦の方が増えています。
年末調整の時期になると、「メルカリの売上も副業収入として会社の書類に書かなければいけないのかな」「書かないと脱税になってしまうのでは」と不安になる方が少なくありません。
先に要点だけお伝えすると、自宅にある着なくなった服、読まなくなった本、使わなくなった家具や家電などの不用品を売ったお金は、所得税法によって全額非課税と定められています。売上が年間何十万円あったとしても、会社の年末調整用紙に書く必要は一切なく、税務署への確定申告も不要です。
ただし、「1個30万円を超える高級貴金属やブランド時計の売却」や「安く仕入れて高く売るせどり・転売」は課税対象になるという重要な例外もあります。
この記事では、不用品売却が非課税になる法律上の根拠から、課税される例外パターン、せどり・転売の確定申告基準、年末調整の正しい対応、そして実際にメルカリの売上について税務署から問い合わせを受けた人の話まで、国税庁の公式情報にもとづいて整理しました。
1. 自宅の不用品を売ったお金は「完全非課税」で申告不要

所得税法第9条第1項第9号「生活用動産の譲渡所得の非課税」
日本の税法には、日常生活で使っていた身の回りの物を処分することについて、次のような非課税ルールが定められています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
所得税法第9条第1項第9号は、生活用動産の譲渡による非課税所得について、次のように定めています。
『自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得』
出典:所得税法第9条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
国税庁のタックスアンサーでも、この非課税所得の中身が具体的に説明されています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」では、次のように説明されています。
『家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。』
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm
条文とタックスアンサーの内容を、フリマアプリの取引に当てはめて整理すると次のようになります。
【フリマアプリの売買と税金の完全仕分け】
| ① 自宅の不用品売却(非課税) | ・着なくなった古着、子どものサイズアウト服 ・読み終わった本、マンガ、CD、DVD ・使わなくなった家具、家電、スマホ、ゲーム機 ->「年間売上が100万円あっても税金0円」 |
|---|---|
| ② 会社の年末調整 | 「記入・提出は一切不要(完全無視でOK)」 |
自分が使っていた生活用品を処分したお金は、税法上「利益(所得)」とはみなされないため、年末調整でも確定申告でも一切報告する必要はありません。
【現場のリアル】メルカリの入金通知が続いて、通帳の残高を見て青ざめた話
引っ越しを機に、クローゼットと押し入れの中身をまとめてメルカリに出品した共働き夫婦の話です。半年ほどの間に入金通知が百件近く届き、何気なく振込先口座の残高を確認したところ、想定より四十万円近く増えていたそうです。「これ、年末調整で申告しないといけないやつじゃないか」「知らないうちに脱税になっていたらどうしよう」と、その日の夜は夫婦で検索を続けて眠れなかったといいます。「生活用動産」という聞き慣れない単語にたどり着いたものの、条文の言い回しが難しくかえって不安が増し、結局は税理士をしている大学時代の友人にLINEで相談しました。「引っ越しで手放した普通の中古品の話でしょ、それなら気にしなくて大丈夫」と返信が来た瞬間、ようやく肩の力が抜けたそうです。
2. 税金がかかる例外パターン
フリマアプリでの取引であっても、以下のようなケースに該当する場合は課税対象(譲渡所得・雑所得・事業所得)となります。
【課税対象となる主なケース】
| ① 1個30万円超の貴金属・骨董品 (譲渡所得) | 宝石、ダイヤ、金地金、高級ブランド バッグ、美術品、骨董品等の高額品 |
|---|---|
| ② 転売・せどり(営利目的) (雑所得 / 事業所得) | 最初から「売って利益を出す目的」で 店舗やネットから仕入れて販売する行為 |
| ③ ハンドメイド作品の継続的販売 (雑所得 / 事業所得) | 自作のアクセサリーや小物を継続的に 製造・販売して利益を得る行為 |
「①1個30万円超の貴金属・骨董品」が課税対象になる根拠も、先ほどのタックスアンサーに明記されています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
同じく国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」では、非課税となる生活用動産の範囲から除かれるものとして、次のように明記されています。
『貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるもの』
出典:国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm
つまり、実家の整理で出てきた古いブランド時計や指輪でも、一つあたりの売却額が30万円を超えると、非課税の対象からは外れます。
3. せどり・転売で「年間利益20万円超」なら確定申告が必要

リサイクルショップやネット通販で商品を安く仕入れてメルカリで高く売る「せどり・物販ビジネス」を行っている場合、これは生活用動産の処分ではなく、営利目的の雑所得または事業所得にあたります。
【せどり・物販の所得計算式】
副業所得 = 売上総額 −(商品の仕入原価 + メルカリ手数料 + 送料 + 梱包資材費)
給与所得者がこの副業所得を含めて確定申告をしなければならない基準は、国税庁のタックスアンサーに定められています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、確定申告が必要な人の一つとして、次のように定められています。
『各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人』
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
この計算の結果、年間の純利益(所得)が20万円を超えた場合は、年明け2月16日から3月15日に税務署へ確定申告を行う義務が発生します(20万円以下でも住民税の申告は別途必要になる点に注意してください)。
【現場のリアル】せどりと不用品処分の境目で「これはどっちなんだろう」と悩んだ話
普段は着なくなった服や読み終えた本をメルカリで処分しつつ、近所のリサイクルショップの半額セールで見つけた掘り出し物の食器を時々買っては、少し高値で出品していた方の話です。ある日ふと自分の取引履歴を見返して、「これは不用品処分なのか、それとも仕入れて売る商売なのか、自分でもよく分からなくなってきた」と不安になったそうです。全部まとめて非課税だと思い込むのも怖いし、かといって毎回税務署に確認するわけにもいかない。結局、物販を本業にしている知人に相談し、「もともと自分が持っていた物」と「安く買って利益を狙って仕入れた物」を出品のたびにメモ帳アプリで色分けして記録するようにしたといいます。「境目を曖昧にしたまま放置するより、自分の中で線引きしておくほうがずっと気が楽になった」と話していました。
4. 年末調整書類の正しい対応マニュアル
せどり等で副業所得が発生している場合であっても、本業の会社の年末調整用紙(扶養控除申告書や基礎控除申告書)にはメルカリの売上や所得を書く欄自体がありません。年末調整はあくまで会社から受け取る給与についての手続きだからです。
本業の年末調整は会社からの給料のみで通常通り提出し、メルカリの利益分は年明けにスマホe-Taxから確定申告(住民税は普通徴収を選択)を行いましょう。
5. メルカリの取引履歴について税務署から問い合わせが来たらどう答えればいいか

税務署から届く書類の多くは「お尋ね」と呼ばれる簡単な確認文書で、いきなり調査や処分が始まるものではありません。フリマアプリの売上が一定額を超えると、確認のための書面が送られてくることがあります。慌てて無視したり、逆に必要以上に身構えたりする前に、次の順番で対応すれば十分です。
まず、書面に記載された連絡先(電話番号)に、記載の期限内に一度連絡を入れます。次に、聞かれた取引について「自宅で使っていた物を処分した」「せどりで仕入れて売った」のどちらに当たるかを、正直に説明します。このとき、いつ頃・どこで手に入れた物か(結婚祝いでもらった食器、子どもが着られなくなった服、など)をあらかじめ思い出せる範囲でメモしておくと、電話口でも落ち着いて答えられます。生活用動産の処分であれば、その旨を伝えれば基本的にそれで確認は終わります。せどりに該当し、まだ申告していない利益があった場合は、その場で正直に伝えたうえで、期限後申告や修正申告の案内に従えば問題ありません。
【現場のリアル】税務署から届いた「お尋ね」の封筒を開けるまで3日かかった話
メルカリで年間の売上がまとまった金額になっていた方の話です。ある日、税務署の名前が入った封筒がポストに届き、「ついに来た」と頭が真っ白になり、開封できないまま机の引き出しにしまい込んで3日間過ごしたといいます。意を決して開けてみると、中身は「取引の内容についてお伺いします」という簡単な質問用紙で、記載された電話番号に連絡してみました。担当者に「引っ越しで出した家財の処分がほとんどです」と説明したところ、「それでしたら生活用動産の譲渡になりますので、特に問題ありません。ご回答いただいた内容で結構です」とあっさり終わったそうです。「もっと厳しく問い詰められると思っていたのに、拍子抜けするくらい淡々としたやり取りだった」と振り返っていました。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. メルカリの年間売上が100万円を超えました。税務署から問い合わせが来ますか。
すべて自宅の不用品(古着・日用品・本等)の売却であれば、売上が100万円あっても非課税ですので、堂々と「生活用品の処分です」と答えれば問題ありません。
Q2. 昔買ったロレックスの腕時計をメルカリで150万円で売りました。税金はかかりますか。
1個30万円を超える高級貴金属・時計は「譲渡所得」の対象になります。ただし、譲渡所得には特別控除があり、国税庁のタックスアンサーでは次のように説明されています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」では、次のように説明されています。
『譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。』
出典:国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm
つまり、[売却額 − 当初の購入額などの取得費 − 譲渡費用]で計算した利益が50万円以下であれば税金はかかりません。利益が50万円を超える場合にはじめて確定申告が必要になります。
Q3. 家族名義のアカウントに分散して出品すれば、非課税枠を増やせますか。
増やせません。実際に売却して利益を得ているのが誰かで課税関係が決まるという原則が、国税庁の法令解釈通達に示されています。
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁の法令解釈通達「法第12条《実質所得者課税の原則》関係」の元になる所得税法第12条は、次のように定めています。
『資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとしてこの法律の規定を適用する』
出典:国税庁「法第12条《実質所得者課税の原則》関係」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/03/01.htm
名義をどれだけ分けても、実際に利益を受け取っている人に課税されるのが原則です。家族の口座に売上を分散させても、税務上のリスクが消えるわけではない点に注意してください。
7. 【仕分け早見表】メルカリ・ヤフオク出品物の課税・非課税一覧
| 出品した商品のジャンル | 税務上の取り扱い | 確定申告の要否 |
|---|---|---|
| 洋服・靴・バッグ(日常使いの中古品) | 完全非課税 | 不要 |
| 本・コミックセット・ゲーム機・DVD | 完全非課税 | 不要 |
| 使わなくなった家具・家電製品 | 完全非課税 | 不要 |
| 1個30万円超の高級宝飾品・金・時計 | 譲渡所得(課税対象) | 利益50万超で申告 |
| Amazonや店舗で仕入れたせどり商品 | 雑所得 / 事業所得(課税) | 利益20万超で申告 |
| ハンドメイドのアクセサリー・雑貨 | 雑所得 / 事業所得(課税) | 利益20万超で申告 |
まとめ:不用品売却は完全非課税、年末調整は気にせず提出しよう
自宅の不用品(服・本・家具・家電等)の売上は、所得税法第9条第1項第9号により全額非課税とされており、年末調整にも確定申告にも書く必要はありません。1個30万円超の貴金属や、転売・せどりの利益は課税対象になり、せどりで年20万円超の利益が出た場合のみ、年明けに確定申告を行います。
不安になったら条文やタックスアンサーの文言を確認し、それでも判断がつかない場合は税務署の窓口や電話相談センターに直接聞くのが一番確実です。フリマアプリの売上は安心して家計の足しにし、年末調整は会社の給与だけで提出しましょう。