転職した年の年末調整はどうする?前職の源泉徴収票がない・間に合わない時の対処法

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目次

「転職したばかりで年末調整の時期が来たけれど、前の会社の源泉徴収票がない」

「今の会社に提出する期限に間に合わなかったらどうなるのか」

初めて転職を経験した年の11月、総務から「前職の源泉徴収票を出してください」と言われて初めてこの言葉の存在に気づき、手が止まる人は少なくありません。実務上、転職した年の年末調整には前職の源泉徴収票が必要になります。ただし、手元になくても、期限に間に合わなくても、取るべき手順さえ踏めば税金面で損をすることはありません。

ここでは国税庁の公式情報にもとづいて、今のあなたの状況に合わせて次に何をすればいいかを具体的に説明します。


1. 転職した年の年末調整に「前職の源泉徴収票」が必須な理由

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年末調整とは、1年間(1月1日〜12月31日)の総収入に対して支払うべき所得税を正確に計算し直し、給与から天引きされていた税額との過不足を精算する手続きです。

年の途中で転職した場合、今の会社は「あなたが前の会社でいくら稼いで、いくら所得税を天引きされたか」を知りません。そのため、前職の収入と納税額が記載された源泉徴収票を提出しないと、1年間の総収入をもとにした正しい年末調整ができないのです。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2674 中途就職者の年末調整」では、次のように定められています。
『年の中途で就職した人が、就職前に他の会社などから給与の支払を受けていた場合には、その給与を含めて年末調整を行うことになっています。この場合、年末調整の対象となる給与の金額は、前の会社などから支払を受けた給与の金額とその年の中途で就職した会社などから支払を受けた給与の金額との合計額です。この確認は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載された、その人が就職前に他の会社などから支払を受けた給与の支払者名、給与の金額、源泉徴収税額などによって行い、その給与の金額などの記載事項は、通常、その給与についての源泉徴収票によって確認します』
出典:国税庁 タックスアンサー No.2674「中途就職者の年末調整」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm

つまり前職の源泉徴収票は「念のため添付する参考書類」ではなく、今の会社が年末調整の計算そのものを行うために法令上必要としている書類だということです。この確認ができないと、今の会社は年末調整そのものを行えません。

必要な理由詳細
収入の合算前職と現職の給与を合計して「年間の総収入」を確定させるため
税額の精算前職ですでに天引きされた所得税額を把握し、現職分と合わせて過不足を計算するため

2. 前職の源泉徴収票がない・見当たらない時の対処法

前の会社には、退職した従業員に源泉徴収票を交付する法律上の義務があります。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁の法令解釈(質疑応答事例)「給与所得の源泉徴収票等の交付義務」では、所得税法第226条第1項にもとづき、給与等の支払者は翌年1月31日までに源泉徴収票を交付しなければならないとした上で、『年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後1月以内に、これを交付しなければならない』としています。
出典:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の交付義務」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/1/04.htm

つまり本来は、退職してから1ヶ月以内に前の会社から源泉徴収票が届いているはずのものです。「なくしてしまった」「そもそも届いていない」という場合は、次の順番で対処しましょう。

2-1. 退職時のWeb明細やクラウドツールを確認する

紙ではなくPDF(電子データ)で源泉徴収票を発行する企業が増えています。郵送で届くと思い込んでいたら、実は退職時に使っていた給与明細のWebシステムに、ログインしたままアップロードされていたというケースは珍しくありません。まずは以前使っていたシステムに退職後もログインできるか試してみましょう。電子データを今の会社に提出する場合は、印刷が必要かデータのままでよいか、事前に確認してください。

2-2. 前の会社に「再発行」を依頼する

システムにもなく手元にもない場合は、前の会社の総務部や人事部へ連絡して再発行を依頼します。前述のとおり源泉徴収票の交付は会社の法律上の義務なので、退職後に連絡すること自体を遠慮する必要はありません。

▼ 再発行を依頼する時の電話・メール例文

「お世話になっております。〇月〇日に退職いたしました〇〇(氏名)です。
大変恐縮ですが、転職先での年末調整の手続きで必要となったため、源泉徴収票を再発行してご郵送(またはPDFで送付)いただけないでしょうか。
送付先は以下の通りです。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」

2-3. 会社が倒産した・連絡を無視される場合は「税務署」へ相談する

前の会社が倒産してしまった、連絡しても発行してもらえないといった事情がある場合は、所轄の税務署へ相談します。税務署から会社へ行政指導として発行を促してもらえることに加え、最終手段として「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すれば、源泉徴収票がなくても手続きを進める道が用意されています。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」では、次のように案内されています。
『給与などの支払を受ける方が、支払者に源泉徴収票を交付するよう請求したにもかかわらず交付されない場合には、その支払を受ける方は、「源泉徴収票不交付の届出書」を作成し、それを所轄税務署長に提出してください』。届出書の提出期限は源泉徴収票の交付を受けられなかった年の翌年1月31日までとされ、給与明細書を保管している場合はその写しを添付します。
出典:国税庁「F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100017.htm

【現場のリアル】実際にあった落とし穴と対処法

11月末の提出締め切り前日、前職の総務に電話をかけるのは想像以上に気が重いものです。ある人は「円満退職ではなかったので、電話をかける手が震えた」と振り返っています。実際に電話をしてみると、担当者は「ご用件は」と事務的に応対しただけで、拍子抜けするほどあっさり再発行の手続きに応じてくれたそうです。源泉徴収票の交付は会社側の法律上の義務なので、担当者にとっても日常業務の一つに過ぎません。気まずさを感じるのは元従業員側だけということがほとんどです。

一方で、退職から時間が経っているケースでは事情が変わってきます。転職エージェントを挟まずに数年前に辞めた会社へ連絡したところ、退職当時の担当者はすでに異動しており、電話口の新しい担当者に「いつ在籍していた誰か」から説明し直す羽目になった、という声もあります。小さな会社で総務が一人しかおらず、その人が既に退職していて折り返しの連絡が2週間来なかった、という例も実際にあります。こうした場合は、電話だけで粘らずにメールも並行して送り、「〇月〇日までにご返信いただけない場合は、税務署に相談させていただきます」と期限を明記しておくと、放置されにくくなります。

それでも間に合わず、結局その年は自分で確定申告をすることになった、という人もいます。「12月の給与でまとまった還付があるはずだったのに、何も振り込まれなかった時は正直かなり焦った」という体験談は、SNSやQ&Aサイトでも毎年11月から12月にかけて繰り返し見かけます。ただし後述のとおり、還付を受けるための申告はペナルティのある手続きではなく、翌年1月から自分の都合の良いタイミングで行えるものです。慌てて年内に何とかしようとするより、前の会社への連絡は淡々と進め、間に合わなければ翌年に回すと割り切ったほうが、精神的な負担はずっと軽くなります。


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3. 今の会社の提出期限に間に合わないとどうなる?

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前の会社に再発行を頼んだけれど、今の会社の年末調整の提出締め切りに間に合わない、という場合も対処法があります。

3-1. 今の会社では「年末調整」ができなくなる

前述の国税庁タックスアンサー「No.2674」のとおり、前職分の給与を含めて確認できなければ、今の会社は年末調整を行うことができません。実務上は、現職の収入分だけで一旦処理されるか、年末調整そのものが行われずに終わります。その結果、本来12月か1月の給与で戻ってくるはずだった還付金が、その年のうちには振り込まれません。

3-2. 自分で「還付申告(確定申告)」をすればペナルティはない

会社の年末調整に間に合わなかった場合は、自分で税務署に確定申告をすれば解決します。しかも、税金を多く払い過ぎていて還付を受けるだけの申告であれば、通常の確定申告期間を待つ必要はありません。

【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2030 還付申告」では、次のように説明されています。
『確定申告の必要がない人でも、給与から源泉徴収された所得税及び復興特別所得税や予定納税をした所得税及び復興特別所得税がある場合には、確定申告をすることによって、納め過ぎになった税金の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます』
出典:国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm

つまり、通常の確定申告のように翌年2月16日から3月15日までを待つ必要はなく、年が明けた1月1日以降であればいつでも税務署に申告書を提出できます。前職と現職、両方の源泉徴収票がそろい次第、早めに提出すれば、それだけ早く還付金を受け取れます。遅れたこと自体に罰則やペナルティはありません。

項目会社の年末調整自分で還付申告(確定申告)
時期11月〜12月頃翌年1月1日から5年間いつでも可能(国税庁 No.2030)
手間会社が計算してくれる自分で源泉徴収票をもとに書類を作成して提出
税金の還付12月または1月の給与と一緒に申告後、おおむね1〜2ヶ月後に指定口座へ振込

【よくある質問】転職と年末調整のギモン

Q. 源泉徴収票の「コピー」でも提出できる?

A. 会社は原則として原本または電子データ(PDF等)の提出を求めます。自分で原本をコピーしたものは、正式な証憑として扱われず受け付けてもらえないことが多いので、必ず原本を提出するか、会社にデータでの提出が可能か確認しましょう。原本を紛失した場合は、対処法2-2または2-3の手順で前の会社または税務署から改めて交付を受けてください。

Q. 転職活動中に「無職の期間」があったけど大丈夫?

A. 問題ありません。無職の期間があっても、年内に再就職していれば今の会社で年末調整を受けられます。無職の期間中に「国民年金」や「国民健康保険」を自分で支払っていた場合は、その支払額も社会保険料控除の対象になります。控除証明書も一緒に提出すれば、その分税金が安くなり還付金が増える可能性があります。

Q. 年内に転職先が決まらず、12月31日時点で無職だったら?

A. その場合は今の会社が存在しないため、そもそも会社の年末調整の対象になりません。前職の源泉徴収票を使って、自分で確定申告(または還付申告)を行うことになります。


まとめ:前職の源泉徴収票がなくても焦らず対応しよう

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転職した年の年末調整には、国税庁タックスアンサー「No.2674 中途就職者の年末調整」が示すとおり、前職の源泉徴収票が欠かせません。もし手元にない場合は、次の手順で対応しましょう。

  1. Webの給与システムにPDFで発行されていないか確認する
  2. 前の会社に連絡して再発行をお願いする(法律上の義務なので遠慮は不要)
  3. 会社が対応してくれない、または倒産している場合は税務署へ相談し「源泉徴収票不交付の届出書」を検討する
  4. どうしても今の会社の締切に間に合わない場合は、翌年1月1日以降、自分の都合の良いタイミングで還付申告を行う

期限に間に合わなくても、後から還付申告をすれば払い過ぎた税金はきちんと戻ってきます。まずは前の会社へ連絡を取ることから始めてみましょう。


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