11月中旬を過ぎたあたりから、社内メールに「年末調整書類の提出締切」という件名が何度も届くようになります。忙しさにかまけて後回しにしていると、締切当日になって慌てて総務に駆け込む羽目になる。これは毎年、どの会社でも起きている光景です。
年末調整の法律上の期限は、その年最後の給与を支払うとき(多くは12月)までに会社側が計算を終えることです。そこから逆算して、社内提出の締め切りは11月中旬から11月下旬に設定している会社がほとんどになります。
結論:年末調整は「いつからいつまで」に行うのか

年末調整のスケジュールには、大きく分けて「従業員の提出期限」と「会社の提出期限」の2つがあります。
1. 従業員の提出期限(あなたのアクション)
【国税庁の公式見解・1次情報】
国税庁タックスアンサー「No.2662 年末調整のしかた」では、年末調整の実施タイミングについて次のように定めています。
『給与の支払者は、給与所得者の扶養控除等申告書を提出している人について、その年最後に給与の支払をする際に年末調整を行うこととされています』
出典:国税庁 タックスアンサー No.2662「年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
会社が計算を終えなければならないのは、その年最後の給与を払う時点です。そのため逆算して、11月中旬から11月下旬ごろを社内提出の締め切りとしている会社が最も多くなっています。具体的な日付は会社によって異なるため、総務や人事からのお知らせを必ず確認しましょう。
2. 会社の提出期限(会社のアクション)
会社は、従業員から集めた情報をもとに計算を行い、翌年の1月31日までに税務署や市区町村へ各種書類(法定調書や給与支払報告書など)を提出する義務があります。
| アクション | 対象者 | 一般的な時期・期限 |
|---|---|---|
| 書類の準備・保管 | 従業員(あなた) | 10月下旬〜11月上旬 |
| 会社への書類提出 | 従業員(あなた) | 11月中旬〜11月下旬 |
| 精算(還付・追加徴収) | 会社 → 従業員 | 12月の給与(または1月) |
| 役所への書類提出 | 会社 | 翌年1月31日まで |
年末調整の年間スケジュール
全体の流れを把握しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
【ステップ1】10月下旬〜11月上旬:各種証明書が自宅に届く
10月頃になると、加入している保険会社から「生命保険料控除証明書」や「地震保険料控除証明書」などのハガキや封筒が届き始めます。国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」のとおり、控除を受けるにはこの証明書の添付(またはデータ提出)が必須です。間違って捨てないように、専用のクリアファイルなどに入れてひとまとめにしておきましょう。
【ステップ2】11月中旬〜下旬:書類に記入して会社へ提出
会社から「扶養控除等(異動)申告書」や「基礎控除申告書」などの年末調整用の書類が配布されます。最近はWeb上で入力するシステムを導入している会社も増えました。期限に遅れないよう、手元にある証明書を見ながら正確に記入(入力)して提出します。
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無料で申告書を作成してみる【現場のリアル】11月締切前日、前職への再発行依頼という綱渡り
年内に転職して今の会社に入った人は、前職の源泉徴収票を今の会社に提出しなければ年末調整を受けられません。国税庁タックスアンサー「No.2674 中途就職者の年末調整」には、前職の給与額が確認できない場合、年末調整自体を行うことができないと明記されています。出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm
ある転職経験者は、退職時に源泉徴収票を受け取り忘れたまま新しい会社の提出締切前日になって気づき、前職の総務に電話をかけました。すでに退職して数ヶ月経っていたため担当者の記憶も薄れていて、「郵送になるので1週間ほどかかります」と言われ、結局その年の年末調整には間に合いませんでした。この場合、翌年の確定申告で自分から税務署に還付を申請する以外に方法はありません。退職する際は、その場で源泉徴収票の発行時期を必ず確認しておくことが、後々の自分を助けます。
【ステップ3】12月給与・賞与:還付金の受け取り(精算)
無事に処理が終わると、多くの場合、12月の給与やボーナスと一緒に還付金(払いすぎた税金)が戻ってきます。もともと給与から引かれていた税金が少なかった場合は、逆に追加で徴収されるケースもあります。
【ステップ4】翌年1月31日:会社から税務署・市区町村への提出
会社は1月31日までに前年分の年末調整の最終報告(法定調書、給与支払報告書)を税務署や市区町村に行います。これで一つのサイクルが完了です。
提出期限に遅れたらどうなるのか

パターン1:会社の締め切り直後なら間に合うことも
会社の担当者がまだ計算処理を始めていなければ、急いで提出すれば間に合わせてくれることもあります。気づいた時点で、すぐに担当部署へお詫びと確認の連絡を入れましょう。
パターン2:年末調整に間に合わなかった場合は「確定申告」
会社の手続きが完全に終わってしまった後や、1月末を過ぎてしまった場合は、会社での年末調整はできません。この場合、国税庁タックスアンサー「No.2030 還付申告」に基づき、翌年1月1日から5年以内であれば、自分で税務署に確定申告(還付申告)をして税金を取り戻すことができます。出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
年末調整を放置すると「損」をする
期限に遅れてそのまま放置してしまうと、本来なら適用されるはずだった生命保険料控除や扶養控除などが反映されません。結果として、払わなくてもいいはずの税金を多く払い続ける(還付金が受け取れない)ことになってしまいます。必ず期限内に提出するか、遅れた場合は還付申告を行いましょう。
期限に間に合わせるために今すぐ準備すべき3つのこと
- 控除証明書の保管場所を決める
10月頃から届き始める保険料の控除証明書。「後でやろう」と机の上に放置すると紛失の原因になります。「年末調整用」というファイルを作り、届いたらすぐに入れる習慣をつけましょう。
- 住宅ローン控除の書類確認(2年目以降の方)
住宅ローン控除を2年目以降に受ける方は、税務署から送られてきた申告書と、金融機関からの「残高証明書」が必要です(国税庁タックスアンサー No.1210)。残高証明書は10月頃に届くので、こちらも大切に保管してください。
- 前職の源泉徴収票の準備(今年転職した方)
今年中に転職して今の会社に入社した方は、前の会社が発行した源泉徴収票を今の会社に提出する必要があります。手元にない場合は前の会社に再発行を依頼する必要があるため、退職直後、記憶が新しいうちに確認しておきましょう。
まとめ:年末調整は期限厳守、余裕を持って準備しよう

年末調整の社内提出期限は、一般的に11月中旬〜11月下旬です。国税庁タックスアンサー「No.2662」が定めるとおり、会社は最後の給与支払い時までに計算を終える義務があるため、この時期の設定は全国どの会社でもほぼ共通しています。
スケジュールをしっかり把握して、10月頃から届く書類をなくさないように準備をしておくことが最大のコツです。万が一遅れてしまうと、還付申告のために自分で税務署へ足を運ぶなど、非常に手間がかかってしまいます。会社から案内が来たら、後回しにせず終わらせてしまいましょう。
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